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559話 ページ10




『はっ!?』


目が覚めると真っ暗な部屋。



何か温かいぬくもりに包まれている。
暗がりに目が慣れ初めると、見えたのは零さんの寝顔だった。


家のベッドで裸で抱き合って寝ているということは…、車の中で致した後、帰宅してまた求め合って…そのまま寝た、のか…。


でも体が綺麗になっているということは、俺が堕ちたあと、零さんが風呂に入れてくれたのかもしれない。



あのあと、作戦はどうなったんだろうか…。




「…体は、大丈夫か?」


目を覚ましたらしい零さんが、じっと俺を見つめていた。



『ごめん、起こした?』

「大丈夫だ」



彼の胸元に頬を摺り寄せると、トクトクと胸の鼓動が聞こえた。


生きてる…、零さんも…俺も。




『…どうなったの?』

「…催眠を受けていた著名人達は全員保護した。大住も拘束した。薬も回収し、今はその入手ルートを追っている。計画は成功だ。Aのおかげでな」

『そっか…、よかった。…ごめん、全然気づかなかった。自分が催眠を受けていたなんて』

「いや、まさかあんな薬があるとは思いもしないだろ…。僕がもっと情報を掴んでいればよかった。辛い思いをさせてすまなかった」


ぎゅっと、抱きしめる腕に力が篭る。



その腕が微かに震えていることに気づき、安心させるように俺も抱き返した。





『謝らないでよ。零さんが助けに来てくれたんだから。…ありがとう』


あのまま心も体も、大住のものになっていたかもしれないのだ。


やはりこの世界じゃ、俺が前の世界でやっていたような動き方は通用しないんだと、痛いほど思い知った。





『…零さん、肩は…?』



俺を庇って弾を掠めたんだ。
そのままことに及んだから、手当てをする暇だってなかったはず。




「本当に掠っただけなんだよ。血ももう止まってるから、大丈夫だ」


ガーゼだけ貼られた右肩にそっと触れた。




『…怖かったんだ。あのときの零さんが、俺を庇って死んだ涼と重なって見えて、また、俺の代わりに大事な人がって――…』

「…Aをおいて死んだりしない」



約束は、できないけれど。





「さ、まだ陽が昇るには早い。もう少しおやすみ」


俺の額に優しく口付け、零さんは微笑む。


すぐに眠気が襲ってきて、そっと目を閉じる。





どうか…、少しでも長く、この人と一緒にいることができますように…。



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設定タグ:名探偵コナン , 降谷零 , 男主   
作品ジャンル:アニメ
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096 - さつまいもさん» ありがとうございます!頑張りますので、これからもよろしくお願いします! (2020年1月7日 11時) (レス) id: e8c1cec671 (このIDを非表示/違反報告)
さつまいも - そう言っていただけると有難いです…。最新話まで読ませていただいております。とても面白いです!寒い日が続いていますので、無理をしない程度で更新頑張ってください。 (2020年1月7日 2時) (レス) id: 13761fb567 (このIDを非表示/違反報告)
096 - さつまいもさん» いえいえ!とんでもないです!私もまだまだ勉強中なので、おかしな点がありましたらまたご指摘いただけると幸いです! (2020年1月6日 15時) (レス) id: e8c1cec671 (このIDを非表示/違反報告)
さつまいも - 返信遅れまして大変申し訳ございません(^_^;)そうでしたか…やはり口を挟むような結果になってしまい、申し訳ないです。コナンの作品中に東京駅が出ていることは初めて知りました。新しいコナンウンチクが増えました。ありがとうございます(笑) (2020年1月6日 2時) (レス) id: d0e080215b (このIDを非表示/違反報告)
096 - さつまいもさん» ご指摘ありがとうございます。架空都市として東都が使われているようですが、首都名は東京で正しいようです。実際コナンの作品中にも東京駅が出てきています。この辺ややこしくて、私も最初困惑しました(笑) (2019年12月30日 22時) (レス) id: e8c1cec671 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:096 | 作成日時:2019年10月4日 13時

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