585話 ページ36
医師と看護師が零さんの病室に入っていく。
『…自分が男と付き合っていた、なんて知ったら混乱するに決まってる。無理に思い出そうとすれば脳にどんな影響があるか分からない。俺の存在はできるだけ伏せて。風見さんの親戚の真白楓。設定は従兄弟。零さんと接するときはそれを演じるから』
「し、しかし、君は降谷さんと一緒に住んでいるんだろう…？そんなのすぐにバレるに決まってる」
『…ほとぼりが冷めるまで家を出る。隙を見て、零さんのスマホの俺の履歴も消去する』
「…どうしてそこまでするんだ。一緒に過ごすうちに思い出すかもしれないじゃないか」
風見さんの言葉に俺は目を逸らした。
俺だって、ショックじゃないわけじゃない。
むしろ今はすごく辛くて泣きそうだ。
『……外傷的な記憶喪失は、無理に思い出そうとすると脳に負担がかかる。零さんは優しいから、俺が傍にいれば無理にでも思い出そうとしてしまう。…零さんなら、自然に思い出してくれるよ。俺も時折アプローチはするつもりだけど』
「もし、思い出さなかったときは…？」
『…零さんにとって、俺はそれだけの存在だったってこと』
「…君はそれでいいのか？」
『…零さんのこと、頼んだよ、風見さん』
ちゃんと笑えていたか分からないけど、出来るだけの笑みを向けた。
『零さんがどこまで覚えているのかを探って、後で連絡頂戴。俺は家を出る準備をするから』
「っ、わかりません…！どうしてそんなにあっさり捨てられるんですか…！好きなんでしょう…!?」
『……信じているから、だよ。捨てるんじゃない。信じているから、俺の全てを預けるんだ』
これから俺がどうなるかも、すべて零さん次第。
力強い目で風見さんを見つめ返すと、彼は眉を下げたあと俯いた。
「……降谷さんを、必ず貴方のもとに返します」
『…ありがとう、風見さん』
今度は安心して笑みを浮かべられた。
一度病室の扉を見つめて、俺はその場を後にした。
廊下の角を曲がるまで、背中に風見さんの視線を感じながら。
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096 - さつまいもさん» ありがとうございます！頑張りますので、これからもよろしくお願いします！ (2020年1月7日 11時) (
レス) id: e8c1cec671 (このIDを非表示/違反報告)
さつまいも - そう言っていただけると有難いです…。最新話まで読ませていただいております。とても面白いです！寒い日が続いていますので、無理をしない程度で更新頑張ってください。 (2020年1月7日 2時) (レス) id: 13761fb567 (このIDを非表示/違反報告)
096 - さつまいもさん» いえいえ！とんでもないです！私もまだまだ勉強中なので、おかしな点がありましたらまたご指摘いただけると幸いです！ (2020年1月6日 15時) (レス) id: e8c1cec671 (このIDを非表示/違反報告)
さつまいも - 返信遅れまして大変申し訳ございません(^_^;)そうでしたか…やはり口を挟むような結果になってしまい、申し訳ないです。コナンの作品中に東京駅が出ていることは初めて知りました。新しいコナンウンチクが増えました。ありがとうございます(笑) (2020年1月6日 2時) (レス) id: d0e080215b (このIDを非表示/違反報告)
096 - さつまいもさん» ご指摘ありがとうございます。架空都市として東都が使われているようですが、首都名は東京で正しいようです。実際コナンの作品中にも東京駅が出てきています。この辺ややこしくて、私も最初困惑しました（笑） (2019年12月30日 22時) (レス) id: e8c1cec671 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：096 | 作成日時：2019年10月4日 13時
