553話 ページ4
大住にリードされながらパーティー会場に入る。
俺でも知っているこの世界の有名人達がドレスアップして談笑している。
「さぁおいで。今日の主役は君だ。紹介させてくれ」
『…はい』
一見普通のパーティーだけど…、なんだ…?
一瞬くらっとしたような…。
気化された薬が会場に蔓延しているのか…?
大住と共に会場に設置されたステージの上に立つ。
その瞬間、会場の雰囲気が変わった。
今まで談笑していた著名人たちが静かになり、虚ろな目で俺達、いや、大住を見つめている。
『これ、は…』
「言っただろう?この子達はみんな僕の意のままに動くお人形。その仕組みが知りたいかい?」
『っ…、え、あ…っ?』
がくん、と体から力が抜け、大住の前に膝をついた。
ずきん、と頭が痛む。
これは、昨日も起きた…。
「特別なルートで手に入れた、特別な薬を使っていてね。服用するのは僕自身。すると、フェロモンが増幅され、周りにいる人間を一種の催眠状態に陥らせることができる」
『じゃあっ…俺にも…』
力の入らない体で、大住を見上げる。
「君は少し、薬が効きずらい体質のようだね。ここまで堕とすのに苦労したよ」
俺の目線にしゃがみこみ、顎を持ち上げて下卑た笑みを浮かべる大住を睨む。
「どうしてそんな目をする?君は僕の思想に賛同してくれただろう?」
『そう、ですよ…。なのにどうして、こんな…』
「僕は僕だけを見てくれる人形が欲しいのさ。君みたいな一段と美しい子なら特に傍に置いておきたい」
『っ…』
ぶる…っと体が熱を持ち始める。
やっぱり、催淫効果もあるらしい。
《おい、A!動けるようなら撤退しろ!》
俺の異変に気づいた零さんの声がイヤフォンから聞こえてくるが、上手く頭が働かない。
完全に呑まれる前に…、この人をこの会場から引き剥がさないと…。
今作戦を決行しないと、こんな機会またいつ訪れるか分からない。
『お、すみさ…、体、熱い…』
《A…っ》
俺が計画を続行しようとしていることに気づき、零さんは焦ったような声で俺を呼ぶ。
…ごめん、零さん。
自分のことは自分でなんとかするから。
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096 - さつまいもさん» ありがとうございます!頑張りますので、これからもよろしくお願いします! (2020年1月7日 11時) (レス) id: e8c1cec671 (このIDを非表示/違反報告)
さつまいも - そう言っていただけると有難いです…。最新話まで読ませていただいております。とても面白いです!寒い日が続いていますので、無理をしない程度で更新頑張ってください。 (2020年1月7日 2時) (レス) id: 13761fb567 (このIDを非表示/違反報告)
096 - さつまいもさん» いえいえ!とんでもないです!私もまだまだ勉強中なので、おかしな点がありましたらまたご指摘いただけると幸いです! (2020年1月6日 15時) (レス) id: e8c1cec671 (このIDを非表示/違反報告)
さつまいも - 返信遅れまして大変申し訳ございません(^_^;)そうでしたか…やはり口を挟むような結果になってしまい、申し訳ないです。コナンの作品中に東京駅が出ていることは初めて知りました。新しいコナンウンチクが増えました。ありがとうございます(笑) (2020年1月6日 2時) (レス) id: d0e080215b (このIDを非表示/違反報告)
096 - さつまいもさん» ご指摘ありがとうございます。架空都市として東都が使われているようですが、首都名は東京で正しいようです。実際コナンの作品中にも東京駅が出てきています。この辺ややこしくて、私も最初困惑しました(笑) (2019年12月30日 22時) (レス) id: e8c1cec671 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:096 | 作成日時:2019年10月4日 13時