552話 ページ3
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金に染まった髪のサイドを少し後ろに流して、上等なスーツに身を包み、パーティー会場にやってきた。
《体調は?》
髪を流していない右耳にはめたイヤフォンから零さんの声が聞こえる。
『大丈夫。それより守備は?』
視線だけを周囲に向ける。
一般の人に混じって、公安の人間らしき人達が外側を見張っている。
《こちらも問題ない。ホテルのスタッフとしても、数人紛れ込ませている。お前は、会場から少しの間、大住を引き離してくれ。その間にゲストを保護する》
『了解』
短く返事を返して、ホテルの中に入ろうとしたときだった。
「あれ、Aさん?」
下のほうから声が聞こえて、内心うげ、と声を漏らす。
この子にも、GPSをつけられてるんじゃないだろうな…と疑う。
『…コナン、くん』
「今日、何かあるの?」
俺の正装を見て言っているのか。
だがその視線は鋭く周囲を見渡している。
見張っている公安の連中にも気づいているんだろう。
《A、どうした?》
コナンはもう、この状況を察しているんだろう。
隠してもしょうがない、と腕時計を口元に持っていく。
『コナンくんが』
《…また首を突っ込もうとしているのか…》
「…何かあるんだね。Aさんがドラマに出ることになったことと、関係してること?」
『…隠しても無駄だから言うけど、今回は君の協力は不要だよ。特に薬や催眠耐性がない子供は危険なんだ』
「それって…」
「黒瀬くん!待っていたよ!」
コナンが言いかけたとき、大住が俺を迎えに来た。
表情をころっと変えて、大住に笑みを向ける。
『大住さん!今日はお招きありがとうございます!』
ぎゅっとその腕にしがみつくと、彼はだらしなく表情を歪め、俺の腰を抱く。
「ところで、その子供は?」
その視線がコナンに向いて、俺は更に体を密着させた。
『近所に住んでる子なんです。たまたま会って。…またね、江戸川くん』
笑みを浮かべて手を振ると、コナンは察してくれたらしい。
「うん!またね、Aお兄ちゃん!」
子供の笑みを浮かべて手を振り替えし、その場から去っていた。
まぁ、帰ってはいないんだろうけど。
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096 - さつまいもさん» ありがとうございます!頑張りますので、これからもよろしくお願いします! (2020年1月7日 11時) (レス) id: e8c1cec671 (このIDを非表示/違反報告)
さつまいも - そう言っていただけると有難いです…。最新話まで読ませていただいております。とても面白いです!寒い日が続いていますので、無理をしない程度で更新頑張ってください。 (2020年1月7日 2時) (レス) id: 13761fb567 (このIDを非表示/違反報告)
096 - さつまいもさん» いえいえ!とんでもないです!私もまだまだ勉強中なので、おかしな点がありましたらまたご指摘いただけると幸いです! (2020年1月6日 15時) (レス) id: e8c1cec671 (このIDを非表示/違反報告)
さつまいも - 返信遅れまして大変申し訳ございません(^_^;)そうでしたか…やはり口を挟むような結果になってしまい、申し訳ないです。コナンの作品中に東京駅が出ていることは初めて知りました。新しいコナンウンチクが増えました。ありがとうございます(笑) (2020年1月6日 2時) (レス) id: d0e080215b (このIDを非表示/違反報告)
096 - さつまいもさん» ご指摘ありがとうございます。架空都市として東都が使われているようですが、首都名は東京で正しいようです。実際コナンの作品中にも東京駅が出てきています。この辺ややこしくて、私も最初困惑しました(笑) (2019年12月30日 22時) (レス) id: e8c1cec671 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:096 | 作成日時:2019年10月4日 13時