【名探偵コナン】異世界の訪問者12《男主》

577話 霊魂探偵殺害事件 ページ28

「落下位置にあらかじめ、割れた皿やグラスを置いておけば、落ちて当たった衝撃で、割れて音もするし、そこにワインも零しておき、そのワインを踏んだ足跡を寝室に繋げておけば、犯人が慌てて寝室に逃げ込んだように見せかけられる。さらに、この部屋の暖房を強くし、寝室との温度差を作ったのは、寝室の扉を開けたときに風を通り抜けさせて、机に残った小さな塩粒の山を崩すため」

「そ、そうか！その風を使って、寝室の窓枠に貼っておいた何かを吹き飛ばし、誰かが逃げ去ったように錯覚させたんですね！」


閃いたとばかりに高木刑事が推理するが…。



「馬鹿かお前は」


ばっさりとその推理をぶった切られてしまった。

カーテンの向こうで毛利さんの代わりに推理している誰かは、そうとう厳しい人物のようだ。



「想像してみろ。風だけで、窓枠に貼った何かが綺麗に剥がれて吹っ飛ぶわけがなかろう」


口調は完全に大人のものだ。

これはもう確実に…APTX4869の影響を受けた人物のようだ。



「仮に剥がれたとしても、吹っ飛んだ何かが誰の目にも触れずに消え失せたとでも言うのか」

「じゃあ、どうやって…」

「細い釣り糸を扉につけていたのだよ。私が扉を開けたら外れるように細工してな。お前も、ここまでは気づいていただろう？黒瀬」

『！』


突然のフリに思わず反応してしまった。


世良はじっと俺を見つめている。



さっきの仕返しとでもいうのか。
それとも、どこかのタイミングで俺の話がカーテンの向こうの人物に伝えられ、実力を見ようとでもいうのか。



『…ええ。おそらくこういうことです。寝室の窓枠にカーテンと同じ色の布を貼っておき、扉からその釣り糸を通して、ベランダ側の窓枠にテープで固定し、その通した釣り糸の先に重りをつけて、ベランダの手すりから垂らせば…、扉を開けて釣り糸が外れ、貼ってあった布が重りで落下し、あたかも誰かがベランダを横切ったと錯覚するように見せられる』

「ああ。その通り、くだらんトリックだ」



俺から毛利さんに視線を移して、疑問を口にしたのは世良だった。



「でもさ、その落ちた布、誰かに見つかっちゃうじゃないか」

「真純。お前は見てないだろうが、古栗はベランダの真下に自分の車を停めていた。屋根が開閉するオープンカーをな」



…真純？
下の名前で呼んだ…ということは…随分近い関係にある人物…。


家族…か？




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