33話 探偵たちの夜想曲 ページ34
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あらかたの事情聴取を終えると、樫塚さんは再び涙を流し始める。
先日兄を亡くして、すぐにこんな事件に巻き込まれるなんて…、と同情する場面なのだろうが、俺は感じ取っていた。
やはり彼女は、嘘をついている。
「警部殿、今夜はこの辺でいいんじゃないですか?お兄さんを亡くされて間もないし、見知らぬ男に目の前で自 殺されたんですから」
「では、明日改めて事情聴取しますので、住所と連絡先を教えていただけますかな?出来れば、身分を証明するものがあれば、何か」
「大学を出たばかりの就職浪人なので名刺は…、家に帰れば、保険証がありますけど…」
「では、明日持ってきてください」
「わかりました」
「あの、家に帰るなら、僕の車でお送りしましょうか。近くの駐車場に停めてありますし、もしかしたら、あの男の仲間が貴女の家の傍で待ち伏せしているかもしれませんしね」
俺のときもこうやってすぐに手を差し伸べてきたな、安室さんは。
本心からの優しさなのか、それとも、ハニートラップか。
「わざわざすいません」
「いえいえそんな。礼には及びませんよ。黒瀬さんも、いいですよね?」
『ああ、はい。大丈夫です』
俺に拒否権なんてないくせに…。
「何故彼がここにいるんだね」
目暮警部が冷ややかな目で安室さんを見つめた。
面識があるらしい。
「いやぁ、実は安室くん、私の一番弟子になったんすよ。そんで、隣の黒瀬くんが安室くんの助手だから、実質彼も私の弟子っすね」
毛利小五郎の弟子になった覚えはないが。
「弟子ぃ!?……ったく、また君の周りに探偵が2人増えたわけか」
俺は探偵とかじゃないんだけどな…。
「え?またって…?」
「ああ、君らの他にもいるんだよ。最近毛利君と一緒にちょろちょろ現場に顔を出す、若い女の探偵がな」
…誰だろう?
俺の知っている登場人物だろうか…?
「へぇ、若い女性の探偵ですか。それは是非、会ってみたいですね」
『!』
安室さんの目が鋭くなるのを、俺は見逃さなかった。
その人物が誰か、知っているのか…?
「じゃあ、行きましょうか」
さっきとは打って変わって、“安室透”に戻った彼は、樫塚さんに微笑みかけ事務所を出た。
俺と彼女もその後ろに続いたのだが、心配だから一緒に行く、と毛利さん、蘭、コナンも一緒に樫塚さんを送ることになった。
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096 - ゆずりはさん» 返信遅くなってしまいすみません…!2週目嬉しいです!改めて楽しんで頂けると幸いです! (12月5日 20時) (レス) @page23 id: 5783aede03 (このIDを非表示/違反報告)
ゆずりは(プロフ) - 2週目読ませて頂きます!黒瀬くんめちゃくちゃ好きです!♡ (11月14日 20時) (レス) @page2 id: c114e89f61 (このIDを非表示/違反報告)
096 - はるさん» 返信遅くなってしまい申し訳ありません!2回目読んでいただきありがとうございます!!ハロと出会うのは444話です! (2022年9月13日 15時) (レス) id: 5783aede03 (このIDを非表示/違反報告)
はる - すごく面白いです!!!ストーリー読みやすくて、2回目を見てます((笑。 聞きたいことがあって、ハロと出会うシーンって何話でしたっけ?思い出せなくて、、、 (2022年8月11日 17時) (レス) id: 9c65c52711 (このIDを非表示/違反報告)
096 - みこさん» ありがとうございます!とても長いですが、ぜひ楽しんでください! (2019年8月21日 22時) (レス) id: d9ca70487a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:096 | 作成日時:2019年1月30日 17時