隠キャ、カバディ部に入部します【井浦慶】 (ページ46)

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46:過去② ページ46

井浦side

しかし、中学3年。

ある人と出会う。

それが、カバディ部にいる人見だ。

人見はああゆう格好だし、何となく女っぽい雰囲気もあるから、中学という思春期真っ只中では孤立していたらしい。

そこで人見が目をつけたのが、同じく孤立していたA。

人見は積極性もあるし、Aに毎日話しかけていたらしい。

そんな人見を見兼ねてか、それとも折れたのか、Aは人見を受け入れた。

・

しかし、心では何かが引っかかるという。

A「幸せが…ッ、怖い、んです」

AはLINE越しではなく、震える声で言った。

A「幸せになれば…もう、あが、る…事はッ、ないし……妹、殺して…私ッ、幸せになれないッ…！」

俺は、どうしようもない気持ちになった。

彼女を縛っているのは、間違いなく過去の彼女だ。

自分で、自分を制限しているのだ。

そうしないと……Aは正気を保てない。

井浦「A。正直、俺は…お前の事はまだ分からない。話を聞いただけじゃ…全て分かるわけがない。でも……」

俺はAの顎を掴むと、クイッと上に上げる。

彼女の潤んだ瞳が揺らぐ。

井浦「……幸せになっていいんだよ、お前は」

A「ッ！！」

井浦「自分を解放してやれよ…もう、充分だろ」

俺はAの前髪をかき分け、きちんと目を合わせる。

井浦「許してやれ、お前は何も悪くない」