隠キャ、カバディ部に入部します【井浦慶】 (ページ45)

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45:過去① ページ45

井浦side

緊張がほぐれたのか、それとも相当抱え込んできたのか、本人にも自覚がないほどに…綺麗に涙が落ちた。

Aは、慌てて顔に手を当て下を向く。

井浦「A…なんで泣いてんのか教えて」

しかし、Aは首を横に振る。

井浦「…なら、LINEなら言えるか」

すると、AはLINEで返事をした。

・

その後は、お互いLINE上でやり取りをした。

時折、Aが嗚咽を漏らした時には、優しく背中をさすってやった。

Aが泣きながら教えてくれた、過去。

Aは、妹がいるらしい……いや、"いた"らしい。

Aを産んで、身体を壊してしまった母親は、どうしても下の子が欲しいと思っていた。

しかし、妊娠は出来たものの、流産してしまった。

流産は、ストレスなどが原因だと聞くが…

その原因は、Aにあった。

Aは人一倍、他人を気にする性格らしい。

他人がなんとなく言った言葉も覚えていて、少し強く言い放った言葉も、Aにとっては説教のように聞こえる…。

彼女は、震える手でLINEを送る。

私は……弱いのかもしれない、と。

弱いから、人から少し強く言われて泣く日々が多かったという。

それが母親のストレスとなり、私は妹を殺してしまった…。

それがあってから、Aは感情に左右されないように、と人々の空気になる事を決意した。