隠キャ、カバディ部に入部します【井浦慶】 (ページ42)

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42:汚い手① ページ42

井浦「＿＿＿で、ここか？分からないのは」

わたしの隣で左膝をつきながら、井浦さんはプリントを眺めている。

おかしいなぁ…。

何か話せって言われたから、西園寺って言ったのに。

まあ、確実に西園寺が正解だとは思えないが…。

井浦「いいか、この問題は～」

教え方が分かったのか、私の教科書をパラパラめくり、教科書と照らし合わせながら説明をする。

・

井浦「後は、この公式に当てはまれば…ほら、出来た」

一言言っていい？

教えるの上手すぎないか！？

塾講師でもやられてました！？みたいなくらい、先生っぽいぞ。

やっぱり、頭いいのかな…いいよな、こんな分かりやすく教えられるんだから。

A「あ、ありがとうございます…」

井浦「じゃあ、この問題やってみろ。さっきのと同じやり方で」

私はペンを走らせる。

それを、井浦さんはぼんやり眺める。

み、見られると…やりずらいな…。

井浦「…何で、サッカー部なんかに入ったんだよ」

A「え？」

いきなり何を言い出したかと思ったら、宵越くんと似たような事を呟いた。

A「……いとこが……コーチ、してるんです。…だから」

だから…1人になった。

望んで1人になったんだ。

あの場所は、輝きすぎている。

あそこに入ってしまったら…私はきっと……。

・

井浦「入院してんだろ…お前の母親」