隠キャ、カバディ部に入部します【井浦慶】 (ページ39)

今日:5 hit、昨日:24 hit、合計:24,531 hit

39:R指定なアプリ① ページ39

井浦side

Aが倉庫で見せたあの顔が、忘れられない。

いつも口をへの字にして、レンズ越しの彼女の目は死んでいる。

しかし、さっきの顔は、目に光が宿っていた。

驚いて目を見開くが、嫌な顔はされなかった。

これも、正人から煽られてやった事だが。

数時間前。

王城「ねぇ、本当にいいの？」

井浦「何がだよ」

王城「だから、Aちゃん！聞いたでしょ、人見から」

今日部活前に、1年組が話しているのが耳に入った。

そこで、人見が人数が不足しているからとAを呼んで、ボーリングをしたと楽しそうに話していた。

王城「きっと、彼女はカバディ部が嫌いとかじゃないと思うんだよ」

井浦「じゃあ…何だって言うんだよ」

王城「何か、俺たちに隠してる事があるとか…家庭的な事情とか…」

正人が思い当たる節を、指を折りながら呟く。

でも、一番は……

・

対戦相手に突っかかった事が、引っかかってんだろうな。

鉄仮面ずらしてるみたいだけど、意外と心読みやすいからな、アイツは。

と言うわけで、俺の情報網で、Aが毎日1人でサッカー部の片付けをしていると知った俺は、倉庫に隠れてAを待ち伏せした。

そして、寄りたいところがあるからと言って、家に招き入れた。

もちろん、Aの身体が目当てではない。

心目当てだ。