隠キャ、カバディ部に入部します【井浦慶】 (ページ36)

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36:俺ん家③ ページ36

oh…。

まだ親しくもない相手の服を着てしまった…。

井浦「そんな申し訳なさそうな顔するなよ。俺が急に呼んだんだ」

井浦さんはそう言うと、テーブルに並べられた料理に手をつけていく。

和食が好きなのか、それとも井浦家は和食中心なのか、お皿に乗っているのは焼き魚や煮付けが大半だ。

井浦「？、食わないのか？」

さすがに招かれた身として、食事に手をつけないのは不味いだろう。

私は煮物を一口食べる。

A「ッ、！」

美味しい…！

そこらの料亭で出ててもおかしくないほどに！

井浦「美味いだろ？うちの母さん、料理上手でさ」

A「っ…」

お母さん…そうか、うん。

井浦「A？」

突然、箸を止めて下を向いた私を心配してか、井浦さんは覗き込むように顔を傾ける。

A「な、何でもな、ないです…」

いけない、いけない。

考えるな。

食事を終えると、井浦さんは料理の代わりに教科書をテーブルに乗せ、勉強を始めた。

井浦「Aも宿題あるならやっていいぞ。分からないところがあれば教えられるしな」

ノートと向き合いながら、彼は黙々とペンを走らせる。

私も鞄からノートを出して、お互い向き合った状態で各々の勉強をした。

A「ッ…」

あ゛、よりにもよって…。

明日は、数学の小テスト…！

数学は体育の次に苦手な科目である。