隠キャ、カバディ部に入部します【井浦慶】 (ページ20)

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王城「AAは人見知りなんだぁ」

部長！

部長がやや棒読みで、私の自己紹介をする。

そして、私の焦った顔を見て、満足したように微笑んだ。

王城「ふふっ、慶も同じ顔してたっ」

高谷「Aか。まぁ、覚えてやらなくもない」

じゃあ、忘れてください。

3歩歩いたら、私らは赤の他人だ。

・

井浦「で、気持ちは固まったか」

　試合が終わり、各々帰路に向かう。

もちろん、私と井浦さんは方向が一緒なので、自動的に一緒に帰る事になる。

井浦「俺は大歓迎だよ。やっとAの本性が分かった事だし……いじりがいがありそう」

おい、心の声漏れてんぞ。

確かに、能京のカバディ部は、運動部特有のめんどくさいいき過ぎた上下関係もない。

風通しも良くて、みんなのコミュニケーション能力はピカイチ。

さらには人の好き嫌いもほぼしないし、とんでもない事をしない限り、許してもらえそう。

でも…

・

A「カバディ部には入りません」

井浦「え？」

私は立ち止まった。

少し歩いて、井浦さんも止まり、振り返る。

A「やっぱり…やめておきます」

井浦「どうして？」

A「……私に、あそこはもったいない」

井浦「っ、…」

それは、心から出た言葉だった。

いくらなんでも恵まれ過ぎている。

このままじゃ、私は恨みを買い、いつか死ぬだろう。

うん、きっとそうだ。

井浦「それは、お前がウチにいるのがもったいないのか、ウチにお前がいるのがもったないのか…どっちの意味だ」

A「……」

私は黙り込んだ。