恋とか花とか気持ちとか。 5 ページ10
「……何でお前そんなこと知ってんの？」
引くわー乙女かよ、という顔でトド松を見るおそ松。トド松は瞬時にカッと頬を染め、弁解し始めた。
「ちょっ、その顔止めて！？ ボクはただ女の子達との話題作りのためにそういうのに詳しいだけであって！」
へー、と明らかに全然信じていない声色で言うおそ松と、その声にわめき始めるトド松。
そんなトド松を尻目におそ松はビールを取り出すと、缶のプルトップを開けた。炭酸が少し抜けてプシュッ、と音がする。グイ、と傾けビールを胃に流し込む。強く心地良い炭酸が喉を走る。一口飲むと、テーブルに置いた。
「昼間っからビール？ ほんっとクズだよねー」
「うまい酒はいつ飲んでもうまいだろ。トド松も飲む？」
「飲まない」
答えは予想していたので別段気分を悪くすることもなく、再度コンビニ袋に手を突っ込むと、今度はつまみのさきイカを取り出す。袋を開けるとトレイを取り出し、さきイカをつまみながら酒を飲む。
カーッうまい、などと声を上げながら酒を飲んでいると、その様子をただじっと見ていたトド松がついに声を上げる。
「……やっぱりボクも飲む」
素早く立ち上がると台所の方へと消える。すぐにビールを一缶持ってくると、座り込み、プルトップを開け、酒を仰ぐ。
「おぉー、いい飲みっぷり。乾杯する？」
「……する」
お互いの缶を合わせ、おそ松は大きく、トド松は控えめに、「乾杯」と言うと、それぞれ酒を飲み始める。
「さきイカ食べる？」
「……食べる」
ゆっくりと、兄弟の時間が流れていた。
.
その日の夕方、居間に集まった六つ子がそれぞれのことをしていると、廊下の方の引き戸がタンッ、と音を立てて開いた。六つ子がさっと素早く目を向けると、そこには六つ子の母親、松代の姿が。
「ニート達。ご近所さんから良いお肉貰ったから今夜は焼き肉よ。喜びなさい」
六つ子達の視線を気にもせず、用件を伝える松代。松代の言葉を聞くと、六つ子達が顔を見合わせる。そして。
「よっしゃー！ 今夜は宴じゃーー！！」
大声を上げた。
そこから先は怒濤の勢いだった。その情熱を少しでも就職に向けろと松造と松代に言われんばかりの。
おそ松とカラ松は食卓の準備、チョロ松と一松は野菜やタレの買い出し。十四松とトド松は酒の買い出し。二人一組になり、年に一度あるかないかの頻度であろう俊敏さで動いた。
そのおかげで、一時間ほどで準備は整った。
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チョロ松girl⊂⌒⊃ - とても、綺麗な話でした！ そして、色々と考えさせて貰いました。 (2019年7月15日 22時) (
レス) id: d9fccfe3cd (このIDを非表示/違反報告)
Aster - 野口さん» 少しでも貴方の考えの参考になったのなら嬉しいです。続編でもよろしくお願いします。 (2016年12月11日 18時) (レス) id: 7de9db5b63 (このIDを非表示/違反報告)
Aster - 紫流さん» 私は常々人の心を動かすのが物書きの仕事だと思っています。夢に一歩近づけたかな、と嬉しくなりました。こちらこそ素敵なお言葉をありがとうございます。 (2016年12月11日 18時) (レス) id: 7de9db5b63 (このIDを非表示/違反報告)
野口 - 今回のもとても綺麗でおもしろかったです！ (2016年12月7日 8時) (レス) id: 1de2cb0f26 (このIDを非表示/違反報告)
野口 - 新しいの読ませていただきました 今回のは読んでいて、あまり輪廻の話に興味がなかったんですが、来世でもその人を好きでいられるかというのは難しいと思いました。だって逢える確率の方がひくいもん、だから今精一杯の愛を！ってことかなぁと考えさせていただきました (2016年12月7日 8時) (レス) id: 1de2cb0f26 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Aster | 作成日時：2016年8月30日 8時
