火、燃ゆる 1 ページ48
※この話は未成年の喫煙を推奨するものではありません。
昔の、オレ達がまだ学生だった頃の話だ。
オレ達六つ子が、まだ、高校二年生になったばかりの頃。
オレ達は誰一人違う学校に行くことなく、地元の高校に通っていた。それに不満そうだったのは誰もいなかった。少なくとも、オレの記憶では。
だが、きっとおそ松にはオレとは違うものが見えていたのだろう。おそ松だけに見えたそれが真実だったのかは定かではない。
定かではないが、やはりそれは真実だったのかもしれない。
おそ松はその頃から荒れ始めた。
そのことに気づいたのはいつだったか、正確には覚えていない。
前兆はテストの順位が著しく落ちたことだ。
憎たらしいがおそ松はそれほど勉強しなくとも赤点だけは取ることがなかった。そんなおそ松が赤点を全教科取ってきた。
話に聞いたところでは、こんなことが続くと留年だぞ、と釘を刺した担任に、おそ松はこうあっけらかんと言い放ったらしい。
「俺、退学になってもいいよ、先生」
補足だが、おそ松はそれまで担任を先生などと呼んだことはない。
そう言われた先生はまるで退学にしてくれ、と言われたようで、背筋が薄ら寒くなったと後に語っていた。
結局、先生の説得でおそ松は退学することはなかったのだが、オレ達家族は卒業まで肝を冷やし続けた。
それをきっかけとし、おそ松はどんどん素行が悪くなった。
「松野家の長男おそ松」と言ったら誰も知らない者はいないほど有名になり、毎日体には生傷が絶えずついていた。
そんな長男にオレ達兄弟はよい顔をしなかった。
前々から塾に通いたいと言っていたチョロ松はついに塾に通うようになり、一松は生徒会副会長になって何かと理由を付けて家に遅くまで帰ってこなくなった。十四松は野球部の練習で元々家にあまりいることがなかったのがもっと顕著になり、トド松は友達と遊んだりで毎日が充実している風に振る舞っていた。
そして、オレはどうすればいいのかわからずにいた。
中学のときは演劇部に入ったりしていたが基本的にオレは大道具係だったし、一度だけトド松が策を講じてオレを主役にしてくれたが、そのときの舞台は何とも酷いものだったのでもう二度と入るつもりはない。
おそ松はいつもオレが帰るより先に家にいた。
全員が揃うことがないテーブルに向かい合ってオレとおそ松は夕飯を食べた。
おそ松は食べ終わるといつも外に出て行った。喧嘩をしているようだった。
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チョロ松girl⊂⌒⊃ - とても、綺麗な話でした！ そして、色々と考えさせて貰いました。 (2019年7月15日 22時) (
レス) id: d9fccfe3cd (このIDを非表示/違反報告)
Aster - 野口さん» 少しでも貴方の考えの参考になったのなら嬉しいです。続編でもよろしくお願いします。 (2016年12月11日 18時) (レス) id: 7de9db5b63 (このIDを非表示/違反報告)
Aster - 紫流さん» 私は常々人の心を動かすのが物書きの仕事だと思っています。夢に一歩近づけたかな、と嬉しくなりました。こちらこそ素敵なお言葉をありがとうございます。 (2016年12月11日 18時) (レス) id: 7de9db5b63 (このIDを非表示/違反報告)
野口 - 今回のもとても綺麗でおもしろかったです！ (2016年12月7日 8時) (レス) id: 1de2cb0f26 (このIDを非表示/違反報告)
野口 - 新しいの読ませていただきました 今回のは読んでいて、あまり輪廻の話に興味がなかったんですが、来世でもその人を好きでいられるかというのは難しいと思いました。だって逢える確率の方がひくいもん、だから今精一杯の愛を！ってことかなぁと考えさせていただきました (2016年12月7日 8時) (レス) id: 1de2cb0f26 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Aster | 作成日時：2016年8月30日 8時
