恋とか花とか気持ちとか。 20 ページ25
「どうして？ こんな綺麗じゃん」
疑問に思い、トド松に問いかけると、トド松は何とも困った顔をして言ってきた。
「だってさー、この花の花言葉、「希望」とか「消えることのない思い」、「成功」とかロマンチックなのもあるけどさー」
首を傾げる。トド松がなぜダメだと言ったのか理解できない。だが、次に言った花言葉を聞いておそ松はすべてを理解した。
「……「私を拒絶しないで」、だよ？ 重いでしょ。トト子ちゃんにあげたりなんかしたら引かれちゃう」
「私を拒絶しないで」。
それは、カラ松に冷たい目で見られたときに思ったことだった。
(……もしかして、吐いた花の花言葉って、俺の直前の心情が表れてるのか…………？)
手に持った花を見つめる。
「まあそんな気を落とさないで、おそ松兄さん。見た目自体は良いから、他のも持ってきてね。ボクも探してみるからさ」
トト子ちゃんにあげる花がそんな意味を持ってただなんて、と相当悔しがってると思ってくれたのだろう。
肩を叩いてそう言い、廊下に出て一人にしてくれた。二階に続く階段を登る音が聞こえる。
おそ松は床にへたり込んだ。乾いた笑い声が出てくる。
「は、ははっ。花が自分の想いの結晶だなんて表現してみたけど、まさか花言葉まで俺の気持ちが出てるなんて、どんだけファンタジーなんだよ」
笑いながら言ってみる。花を見た。オレンジ色のとても綺麗な花だ。
「……「私を拒絶しないで」だって？ トド松が言ったとおり、重えよ、重すぎだよ……。こんな重かったらあいつ引くだろーが、人の好意に疎いあいつに、知られたら……」
涙が出そうになった、そのとき、また喉に異物が生じた。
無理矢理喋ろうとしたことで、花弁が舞い散ったのだろう。気管に入り、途端に息ができなくなる。
「げほっ、げほ、こん、な、花なんかに……、ごほっ、ぐぶっ」
息をさせようと体が咳嗽反射を行ったらしく、咳が出る。おかげで、呼吸をすることはままなったが、すぐに今度は花吐き病の症状が襲ってくる。
咳をする度、ひらひらと口の中からピンク色の花弁が舞い落ちる。おそ松はすぐに花弁で囲まれた。
どうして。さっき吐いたのに。何でこんなところで。気持ち悪い。自分が気持ち悪い。
様々な気持ちが頭を過ぎり、揺さぶった。こんなところで吐いて誰かに見られてしまったら、自分はどうすればいいんだろう。どう取り繕えばいいのだろう。
疑問、不満、自分への嫌悪、憂慮。
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チョロ松girl⊂⌒⊃ - とても、綺麗な話でした！ そして、色々と考えさせて貰いました。 (2019年7月15日 22時) (
レス) id: d9fccfe3cd (このIDを非表示/違反報告)
Aster - 野口さん» 少しでも貴方の考えの参考になったのなら嬉しいです。続編でもよろしくお願いします。 (2016年12月11日 18時) (レス) id: 7de9db5b63 (このIDを非表示/違反報告)
Aster - 紫流さん» 私は常々人の心を動かすのが物書きの仕事だと思っています。夢に一歩近づけたかな、と嬉しくなりました。こちらこそ素敵なお言葉をありがとうございます。 (2016年12月11日 18時) (レス) id: 7de9db5b63 (このIDを非表示/違反報告)
野口 - 今回のもとても綺麗でおもしろかったです！ (2016年12月7日 8時) (レス) id: 1de2cb0f26 (このIDを非表示/違反報告)
野口 - 新しいの読ませていただきました 今回のは読んでいて、あまり輪廻の話に興味がなかったんですが、来世でもその人を好きでいられるかというのは難しいと思いました。だって逢える確率の方がひくいもん、だから今精一杯の愛を！ってことかなぁと考えさせていただきました (2016年12月7日 8時) (レス) id: 1de2cb0f26 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Aster | 作成日時：2016年8月30日 8時
