可能性 ページ36
Aとご飯に行った帰りは2人で歩いてAを家まで送るっていうのはもはや恒例となりつつある。
Aのことが好きって自分で認識してからはAがとる一つ一つの行動が可愛くて仕方がない。少し長い袖を邪魔そうにまくる姿も車通りの少ない道で縁石の上に乗って平均台を渡るように歩く姿も全て可愛く見える。
コンビニに寄った時、ふとデザートコーナーに目がいった。
確か堀江くんに会った時に「Aとこの間話してたんですけど〜」って話してたスイーツだ。
堀江くんによればAが食べたがってたらしい。
確かに見た目甘くなさそうだし、甘いものが苦手なAも食べれそう、そう思ったらサッと取ってレジに持っていってた。
入口付近にいるAの元に戻り、先程買ったものを渡す。驚いた顔をしてるAを見て頬が緩みそうになるのを何とかこらえて再び俺たちは帰路に着いた。
食べないのかな。って思ってると、袋を開けパクッとひと口食べたA。
めちゃくちゃ美味しかったらしく、ほっぺを抑えてる。人間、ほんとに美味しいものを食べるとほっぺを抑えるらしい。Aだけかもしれないけど。
ちょーだい。って言うとヒョイっと前に出してくれる。
それをぱくっと食べると本当に美味しかった。
堀江くんに連絡しよ〜ってスマホを出したAが急に「か、」って言った。
まだ蚊は居ないはずだけどって思いながら聞き返すと「関節キス……」って恥ずかしそうに呟いた。
なんだそんなこと?って思ったけどもしかして初めて?とかも思って、少しの嬉しさを隠すように吹き出した俺。
Aにはパンチされたけどなんか1回笑ったら止まらなくなった。殴られて笑ってるとかドMじゃん。
あ。ドMか。
腹筋がおかしくなりそうなほど笑ってるとAが「まただ。」とか意味深なことを言ってくる。
胸が痛いとか言うから可能性の話をしてあげたらまた怒られた。
ねえ、その胸が痛いって、「恋」なんじゃないかなって思った俺は都合よすぎかな?
「じゃ。おつかれ。」
しばらく話しながら歩いてるとAの住むマンションに着いた。
Aがエントランスに入る前に呼び止めると足を止めて振り返ってくれた。
「俺結構本気だから。本気でAのことが好きだから。」
告白なんてしたのいつぶりだろう。
冷静に言ってるように見えるかもしれないけどド緊張してた。
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作者名:ふわり | 作成日時:2021年2月16日 22時