優しい先輩たち ページ14
江「え、A?」
西「ちょっ、こういう時ってふくろでしたっけ?!」
遠くで2人がめちゃくちゃ焦ってる声が聞こえる。
あの時とは違う。この人たちは違うって自分に言い聞かせても苦しいのは変わらなくて。
「う、め……」
あの時のようにまた呟く。
ただ一つだけ違うのは
梅「なに、」
彼の声が聞こえたことだった。
梅「なに、」
そう答えた彼はいつ起きたのか。ベッドの近くでしゃがんでパニックになってる私を優しく抱きしめた。
西「袋持ってきました!って梅ちゃん?!」
梅「さっきベッドにぶん投げられて少し酔い冷めた。袋、貸して、A?顔あげられる?」
私は少しだけ顔を上げた。力が入らなくて体は完全に梅に預けてるし、これくらいしかあげれないが今の私には精一杯で
梅は口元に袋を当ててくれてだんだん落ち着いてきた。
江口さんと西山はどうすればいい?なにすればいい?ってあたふたしてたけど
しっかり呼吸ができる頃には体は疲れきってて気がついたら朝になってた。
目を開けたら見えたいつもと違う天井。
そういえば、江口さんちに来てたんだっけ。
そこそこ広いベッドに私一人寝てるということはほかの3人はリビング……
そっとドアを開けると江口さんだけ起きてた。
江「あ、自分で起きれた?おはよ。」
「はい、おはようございます。あ、ベッド、ありがとうございます、」
江「いいえ、あ、もし良かったらシャワー浴びてきなよ」
「いえ、着替えたいですし一旦帰ります。メイク落としだけ、借りてもいいですか?」
江口さんも撮影や舞台の時メイクすると思うし、あると思う……多分、
江「いいよ。」
置いてある場所を教えてもらってササッと落としてまた軽くメイクをする。
早く目が覚めたから仕事までまだ時間あるし自分の荷物を持って江口さんちを出ることにした。
「あ、昨日はご迷惑をおかけしました、色々、ありがとうございました。では、また現場で。お邪魔しました」
都合よく忘れてくれる脳みそなんて残念ながら持ち合わせてない。
昨日の出来事はしっかり覚えてたわけで。
本当に申し訳ないことをした。
梅にも。西山にも。江口さんにも。
江「体調は?もう平気なの?」
「はい、」
詳しく聞かないのは江口さんの優しさだろう。
江口さんの家を出てコンビニに寄りたかったから歩きで帰った。そこまで距離があるわけじゃないし、まだ頭がクラクラするからちょうどいい。
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作者名:ふわり | 作成日時:2021年2月16日 22時