梅の季節(終)

西山のお節介 ページ32

西山side








｢ねぇ、｣

梅｢…あ？｣

下野さんにAを預けて梅ちゃんの後を追いかけた。


最高級に機嫌が悪い梅ちゃんの返事に少し怯む。


いやいやいや！可愛い後輩の為だ！

｢何してんの？｣


梅｢は？仕事だけど｣

｢違うよ。バカにしてんの？Aのことだよ｣

ついイラッとして言い方がきつくなってしまう。

梅｢……お前には関係ない｣

｢ある！関係あるよ｣

梅｢ないだろ｣

｢あるったらあるの！！！｣

梅｢うるさ…｣

あるよ。関係あるもん。

可愛い後輩で、僕の、









ずっと好きだった人だもん。





｢梅ちゃんだったから。｣

梅｢は？｣

｢ちょっと来て！｣


腕を引っ張って誰もいない場所に連れてきた。

梅｢マジでなんなの。お前アフレコは？｣

｢まだ時間ある。
さっきの続き｣

何この会話。どこぞのカップルだよ。

｢あーもう！はっきり言う。ずっと好きだった。Aが！Aのことが！｣

梅｢え…何言って｣

｢ずっとずっと好きだったのに。梅ちゃんだったから。Aが好きになったのが梅ちゃんだったから諦めたのに。梅ちゃんならAのこと幸せにしてくれるかなって思ったから。それなのに｣

あーもうイライラする。

Aのこと幸せに出来るのは俺じゃなくて梅ちゃんだと思ったから引いたのに。

｢何泣かせてんの。なんであんな顔させるの。
昨日落ち込んでたのは喧嘩のせい？なめてんの？あのさ、言っておくけど…俺ならAにあんな顔させたりしないよ？｣


脅しじゃない。本気。


それを梅ちゃんにもわかるように。


俺ならあんな顔させないよ。泣かせたりもしない。すごく大切にするよ。




そう言って時計を見るともう時間がギリギリだった。

｢やっば！アフレコ！じゃ！そういうことだから。一緒に(・・・)アフレコしてくるね｣


ちょっと嫌な奴かな。

でもこれくらい言わないときっと梅ちゃんは。




｢あ、もうひとつ、喧嘩の理由、いくら聞いても絶対に教えてくれないんだけどなんで？LINEの返信もないし。だいたい想像つくけどアホな考えなんて捨てて自信持ちなよ。溢れ出てんじゃん。悔しいほどにAから。梅ちゃんのこと大好き〜〜ってオーラ｣

この幸せ者〜って一言言ってスタジオに戻った。

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