二十七個目 ページ28
私はほとばしる熱さを感じながら踵を返した。
胸が熱い。頭が熱い。
こんな感覚はいつぶりだろう。
あれ、でも私なんで……。
「お疲れ様。よくやったね」
相変わらずの褒めているのか貶しているのかわからない声色。人だかりを逸れたそこには少しの安心と共に狼狽えを覚える神出鬼没のその姿があった。
「国見君……」
「大分勇気出したんじゃない？大丈夫？」
勇気？
「…………」
「あれだけの人の前で、仲も絆もメリットもない相手になんでそんなこと出来たの？」
「……なんで、だろうね」
「……俺だったらそんな相手にわざわざ首突っ込んだりしないんだけど」
メリットなんかなんもなくて見返りを求めてるわけでもないのになんでだろう。
知りたいは興味で庇うのは守りたいからで罪悪感は良心があるから。これは……？
国見君はいつも通り……いや、いつもより塩気が増した表情で目を伏せる。こんな彼が私なんかに関わってくれていたのか。
――ああ、そろそろ道筋が見えてきてしまったかもしれない。
「……国見君。国見君はなんで私を助けてくれたの」
「……なんでだと思う？」
「なんで調べてまで関わってくれたの」
「なんでだろうね？」
国見君はまるでどこかをつねられているかのような苦しそうな笑顔を浮かべた。
「ほんと、今回は及川さんのこと恨む」
「……マグネット入れてくれたのはどっち？」
「俺はAさんのこと画鋲だと思ってるし俺は壁だよ」
じゃあ……。
ああ、解けてしまった。
「国見君。本当に、本当に本当に本当にほんとーーーにっ、ありがとう」
ぎょっとする国見君に思わずにこりと微笑む。
「国見君と話せてよかった。私も国見君がちょっと大好きだ」
それはきっとまんまのこの気持ちだ。
今までのことで謝りたいのは確かだが、今はそれ以上に感謝のほうが強かった。
「私あの人に今までのこと全部吐いて謝ってくるね。会いに行ってくる」
「……うん。じゃあね」
今なら三年の教室だろうか。屋上、体育館。とにかく当たれるところを当たろう。そう思いながら踵を返した刹那、思いきり手首掴まれた。
「……国見君？どうかした？」
「……いや。頑張れよ」
「うん。ありがとう」
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水野ひのは(プロフ) - 緋鞠さん» 緋鞠様ありがとうございます。少しでも良かったと思って頂けたなら嬉しいです！きっと大変綺麗な心をお持ちなんですね。ありがとうございます！頑張らせて頂きます！ (2020年1月29日 18時) (
レス) id: 8eec0cab53 (このIDを非表示/違反報告)
緋鞠(プロフ) - コメント失礼します。題名で気になり読んでみたら、いつの間にか泣いていました。素敵な作品をありがとうございます。これからも頑張ってください。 (2020年1月29日 17時) (レス) id: 207604f612 (このIDを非表示/違反報告)
水野ひのは(プロフ) - 風華さん» ドラゴンフルーツというのもありですね！大丈夫ですドラゴンフルーツと答える方もかなりいます。正常です。私の父は迷わず赤飯と答えました。これは異常です。コメントありがとうございます。 (2020年1月2日 16時) (レス) id: 8eec0cab53 (このIDを非表示/違反報告)
風華(プロフ) - 初コメ失礼します！赤い果物で思いついたのがドラゴンフルーツだっんですけど…私の方がおかしいですかねw (2020年1月2日 11時) (レス) id: a3f48bb6df (このIDを非表示/違反報告)
水野ひのは(プロフ) - ティラミルクさん» ティラミルク様丁寧なご指摘ありがとうございます…！わっ、目なんて根も葉もないですね…。修正させて頂きました。拙い作者ですのでまた何かあれば言ってやってください！ (2020年1月2日 0時) (レス) id: 8eec0cab53 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：水野ひのは | 作成日時：2019年12月29日 11時
