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二十二個目 ページ23

「なっ……」


思わず飛び出したのはそんな声だった。
いつものように下駄箱を開け、いつものように上靴に足を入れたその瞬間、いつもではない感覚がつま先に走ったのだ。

痛くはないもののただ一瞬にして背筋が凍った。

私はすぐさま足を抜き靴を確認するとそれは、可愛い苺柄の入った包みの典型的な……飴。


なんで飴。告白……なわけないよな。ありえない。色々。
なんかの間違いかもしれないけど一応保管しておこう。


まあ、そんな最初だった。


次の日は丸く可愛いチョコ。その次の日はプチゼリー。
とにかく可愛いらしいお菓子が毎日少しずつ入っている。今日はわなげチョコ(ご丁寧に四等分に切られている)。


なに……これは。新種の嫌がらせか。
流石におかしい。思い当たるのは国見君くらいなわけだが、流石にこんな意味のないことしないと思う。
かといってあの人はありえない。

あれから毎日犯罪者の気分で登校して来ているが、特に何も変わりない。何個か言えば画鋲を入れなくなったことと、体育館に行かなくなったことくらいだ。

あの人も……何を考えているんだろう。



「――久しぶり。Aさん」
「……!?」


瞬間にして現実に引き戻された。
反射で上靴の入った靴箱を閉め、既に床に立っている国見君を見上げる。


「く、にみ君、おはよう。なにしてるの?」
「おはよ。Aさんに会いたかっただけだよ」
「……はは、そうなんだ」


嘘つけ。照れるところじゃないだろうから反応しないでおこう。とにかくこれがバレるのは避けたい。しできるだけ接するのも避けたい。


「ねえ、なんか入ってた?」
「……なんか、って?」
「靴箱」
「入ってた……っちゃ入ってた、けど」


やっぱり国見君なのか。


「国見君なの?」


そう問いかけると、国見君は真顔で目を伏せた。

……絶対何か知ってる。

答えを催促するには早く、訊いた後悔をするには遅い時間はただ相手の顔を見ることしかできなかった。


「どうだろうね」


返ってきた曖昧な答えは試すような笑顔と共に放たれた。

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水野ひのは(プロフ) - 緋鞠さん» 緋鞠様ありがとうございます。少しでも良かったと思って頂けたなら嬉しいです!きっと大変綺麗な心をお持ちなんですね。ありがとうございます!頑張らせて頂きます! (2020年1月29日 18時) (レス) id: 8eec0cab53 (このIDを非表示/違反報告)
緋鞠(プロフ) - コメント失礼します。題名で気になり読んでみたら、いつの間にか泣いていました。素敵な作品をありがとうございます。これからも頑張ってください。 (2020年1月29日 17時) (レス) id: 207604f612 (このIDを非表示/違反報告)
水野ひのは(プロフ) - 風華さん» ドラゴンフルーツというのもありですね!大丈夫ですドラゴンフルーツと答える方もかなりいます。正常です。私の父は迷わず赤飯と答えました。これは異常です。コメントありがとうございます。 (2020年1月2日 16時) (レス) id: 8eec0cab53 (このIDを非表示/違反報告)
風華(プロフ) - 初コメ失礼します!赤い果物で思いついたのがドラゴンフルーツだっんですけど…私の方がおかしいですかねw (2020年1月2日 11時) (レス) id: a3f48bb6df (このIDを非表示/違反報告)
水野ひのは(プロフ) - ティラミルクさん» ティラミルク様丁寧なご指摘ありがとうございます…!わっ、目なんて根も葉もないですね…。修正させて頂きました。拙い作者ですのでまた何かあれば言ってやってください! (2020年1月2日 0時) (レス) id: 8eec0cab53 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:水野ひのは | 作成日時:2019年12月29日 11時

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