夏祭り 4 ページ4
その後も射的やりんご飴、金魚掬いなど、夏祭りを存分に楽しんだ。
「少し休憩するか」
「そうだね」
近くにあったベンチに座ると、私はほっと一息ついた。
「ちょっと待ってろ」
「あ、棗?」
一旦その場を離れた棗はすぐに戻ってきた。
「A、足」
「え?」
「擦れて痛いんだろ。早く」
「..ばれちゃってた?」
「いらねぇ意地張ってんじゃねぇよ。そういうのは早く言え」
「ごめん..」
素直に下駄を脱ぐと、棗は絆創膏を貼り付けてくれた。
「ありがとう、棗」
棗は何も言わずに隣に座った。
「ごめんね、せっかくの夏祭りなのに..
そうだ、私のアリス使っちゃえば..」
「ばか言うな」
「え?」
「Aはもっと自分を大切にしろ。
痛いなら痛いっていて欲しいし、辛いなら辛いって言って欲しい。
もっと俺を頼ってくれ」
「棗..」
「無闇にアリスを使うな、いいな」
「うん、ごめん」
「夏祭りは明日も明後日もあるし、今日はもう休め」
「明日も明後日も行ってくれるの!?」
「あぁ、だから今日は..」
「ありがとう!棗、こういう騒がしいの得意じゃないから、今日だけかと思ってた!
約束ね!」
私は小指をすっと差し出すと、棗は何も言わずに小指を絡め、私の頭を軽く撫でた。
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作者名:ゆら | 作成日時:2023年11月14日 7時