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『……ダメですよ、私と一緒にいたら』
「いや、気にせんでもええよ」
『…そうじゃなくて……』
「それに、さっきちゃんと話も出来てへ」
『私のせいで台無しにしたくないんです!!!』
「…え?」
言葉を遮られて固まる小瀧くんに、あるカードを財布から出して見せる
「…え、これ」
『小瀧さん、私、あなたのファンなんです。だから、あそこまで必死に怒ることが出来たんです。』
きっと、こう言えばきっと小瀧くんはドン引きして、私から離れて行くだろう。
それでいい。
だってほら、大きな目で瞬きもせず私が出したファンクラブカードを見つめて黙り込んでる。
『でも、今日まさか小瀧さんが来ると思ってなくて。ほんと偶然なんです。これだけは信じてください。だからあの……会えて、すごく嬉しかったです。』
「……。」
『引きましたよね……はは、大丈夫です!!今日のことは誰にも言いませんので!!これからもずっと応援してるんで、あの…お仕事頑張ってください!!本当に騒いですみませんでした!!では!!』
一言も発さない小瀧くんが怖くて、何か言われる前に早口で喋ってから背を向けて早歩きでその場から去った。
やばい、泣きそう。
今の私めっちゃダサくない?
絶対変なファンだって思われたよね。
未だに手に握りしめているファンクラブカード折り曲げそうなぐらい手に力が入ってる。
あー、初めて目の前に立ったけど、やっぱり背高かった。
身長差にちょっと萌えてしまった。くそう。
ファンクラブカード見つめてる顔も可愛かった。
まつ毛長いし、流れるような目じりも最高だったし。
…こんな奴を追いかけて来てくれたのちょっと嬉しかったな。
お礼も言ってくれて報われた気もするし。
小瀧くんってプライベートでもめっちゃ優しいんだな。
めちゃくちゃな展開だけど彼のファンになってよかったって思えた。
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作成日時:2019年10月4日 12時