モブ子さんは見た。２

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そうすれば、彼の重み、寝息、体温を薄いシート一枚隔ててじっくりと感じる事ができる……それは、彼に添い寝するかのような感覚だろう。


そして神様は、どうやら私の味方をしてくれたらしい。
この企みは、面白いほどうまく進んだ。
刺激のない日々に飢えていたのか、イタズラだと持ちかけた話に、ベッド職人の友人はのって来た。


私達は、彼がいない隙に自由に出入り出来て、飲み物や軽い食べ物も持ち込める工夫を凝らしたベッドを作り上げた。


そうして出来上がったベッドを店頭に展示して、試しに中に私が潜んでいる時に、なんと彼が導かれるようにやって来たのだ。


「なんだろ？この寝心地、すごくいい。」


そう言って、彼はベッドを買い替えた。
私込みで。


そして、まんまと私は彼の部屋へと運び込まれたのだ。


新しいシーツを張る彼の大きな手が、そうとは知らずに私の体を撫でる。
私は声を殺し、喜びに震える体を必死に抑えた。
これからめくるめく日々がやってくるのだ。そんな期待に私の胸は高鳴った。
そして共に日々を過ごした暁には、きっと。


今は、まだだ、まだその時じゃない……。


すると、かすかにチャイムの音がした。
そして招かれて部屋に入ってきたその人は、メンバーの山田さんだった。


そうよ、メンバーが遊びにくることだってあるんだわ！
私はなんてラッキーなんだろう！！
いつかここを出て、知らないはずの会話を私が知ってる事に驚く彼らの顔を思い浮かべて、私はほくそ笑んだ。


「あ、ゆうてぃー、ベッド買い換えたの？」


「うん、この方が都合が良いと思って。」


「なんの？……って、ちょっ……んっ！」


ドサッ


ぐえっ！
突然ののしかかった重みに私は驚いた。
「え？なんか言った？」
「へ？いや、なんも？」
ヤ、ヤバイヤバイ、今見つかったら私はただの不法侵入者だ、犯罪者だ。
私は必死に息を殺した。


でも、私の頭は混乱していた。
私が想像しうる限り、このチュッチュという音の正体は……いやいや、そんなまさか。
そして、私はさらに重み以上の衝撃に襲われることになった。


「広いベッドの方が、もっと……さ。」


「ゆ、ゆうとっ、俺、シャワーまだっ……」


……………え？
えー？まってまってー？
私の上で一体ナニしてるのー？
二人分の重みを支える予定は無いんですけどー？
ラーイドウィッズミー♪ラーイドウィッズミー♪
……じゃ、なくて！！




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