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姫が八人 ページ9

苦笑いを浮かべる雹翠に、永倉があることを聞く。


永倉「そう言えば姫君さんの"両親"は、よくこんな遠くまで来ることを許したな」

雹翠「永倉様!」


すると、雹翠は焦った様子で永倉に声を掛けてきた。


千華『…………外に出ている』

千鶴「千華さん!」

雹翠「千華様!」


暗く感情の読み取れない瞳で外に出て行く千華を、千鶴は咄嗟に追いかけて行く。


永倉「俺、まずいこと聞いたか?」

原田「だろうな」


千華の出て行った障子を悲しい表情で見続ける雹翠に、周りの雰囲気は自然と暗くなる。


近藤「あの、雹翠さん。もしよいのであれば、何があったのか話してもらっても?」

雹翠「……申し訳ありませんが、それはお話しできません。千華様にあの日のことはもう、忘れ欲しいのです」


暗い顔で自身の拳を強く握りしめる雹翠に、誰も問い詰めることは出来なかった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


部屋を出て行った千華を追いかける千鶴。


千鶴「千華さん。何処に行ったんだろう?」


一人廊下を歩いていると、庭の方から綺麗な歌声が聞こえて来た。









そして、こらはねむりについた








いきゆくはいのなかのほのお







ひとつ、ふたつと








わたしはいのりつづける







どうかこのこにあいを








つないだてにくちすいを









その歌につられて庭に出ると、千華が一人空を見上げていた。


千鶴「千華さん!」

千華『……なんだ?』


空から千鶴へと視線を移した瞳には、少しばかり悲しみの色が浮かんでいるように見える。


千鶴「中に入りましょう。夜は少し冷えますから」


優しい笑みを浮かべて語る千鶴に、千華は目を見開いて、驚いていた。


千鶴「?どうかしました?」

千華『いや、なんでとない』


直ぐにもとの無表情に戻り、また空を見上げる。


千鶴「さっきの歌。とても綺麗ですね」

千華『今は亡き、俺の母様が歌ってくれたものだ』


そう語った千華の瞳には、悲しみと怒りが籠っていた。


千華『俺がまだ幼子の時、人に殺された。両親と兄、両方を同時に失った』

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- オリジナルフラグちゃんと外しましょう。違反行為です (2018年7月13日 8時) (レス) id: fcdf03a087 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:加州蛇桜 | 作者ホームページ:p://  
作成日時:2018年7月13日 8時

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