気が強姫はか弱い姫 (ページ5)

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姫が四人ページ5

少し機嫌の悪い雹翠。

雹翠「千華様。一体どちらにいらしたんですか？心配しましたよ」

千華『人を助けていた。それだけだ』

その返答に、雹翠は驚くと同時に少し悲しいような嬉しいような何とも言えない表情をした。

雹翠「左様ですか。それは良いことですね。ささ、宿は直ぐそこにあります。今宵はゆっくりとお休み下さい」

千華『嗚呼』

二人の影は、暗い夜道に消えていった。

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日が明けた翌日。

千華はいつもの着物から着流しに着替えて外へ出る準備をする。

雹翠「千華様。どちらに参られるんですか？」

千華『特に考えていない。街並みを軽く見て回るだけだから、一人でいい』

髪を高く結い上げて外へと出かけた。

千華『意外と人通りは多いな』

開いている店を見ながらぶらぶら歩いていると、突然男性の怒鳴り声が聞こえ、其方を見やる。

浪士「このクソ餓鬼！ちゃんと前見て歩けや！」

子ども「うええええええええええん！」

どうやら幼い子どもが楽しく走り回っていた時、偶々浪士とぶつかってしまったようだ。

浪士1「うるせぇな！っぐあ？！」

子どもに手を上げようとした浪士の顔面を、思いっきり殴る。

千華『幼子に手を上げようとは、武士の風上にもおけない。恥を知れ』

浪士2「な、なんだとぉ！」

突然現れた千華に他の浪士達は一度怯むが、すぐに腰にあった刀を抜き、構えた。

千華『はぁ、なんとも情けない。ここまで落ちていたとは』

浪士3「何いってやがる！おらああああああ！」

「きゃーーーーーーー！！！」

刀を振り上げて向かってくる浪士に、周りにいた人々は悲鳴を上げ、千華を見る。

浪士3「ぐあっ？！」

浪士2「かはっ？！」

浪士4「むがっ？！」

一気に浪士三人の腹や顔面、顎を殴り、吹き飛ばした。

千華『手応えがないな。鍛え直せ』

そう伸びている浪士達に吐き捨て、目の前の光景に唖然として座っている子どもと目線を合わせるように膝を立てしゃがむ。

千華『坊主、怪我はないか？』

子ども「え？う、うん」

はっと我に返った子どもは涙で濡れた目をぐいぐいと擦って千華を見た。

千華『やめろ、あまり擦ると赤くなるぞ』

子ども「うえ」

子どもの手を取り、着物の袖から手拭いを取り出して拭ってやる。

千華『ん、よし。これでいいぞ。早く母君の元に行ってやれ』

子ども「うん！お姉ちゃんありがとう！」

子どもは笑顔になり、母親がいるであろう方向へ走っていった。