53.酔った君を ページ3
「一週間お疲れ様!」
「お疲れ様です!」
グラスに注がれたレモンサワーを飲む。
一人ではあまり飲まないからなあ。
久しぶりのお酒だからか
鼻につんっと感じたアルコールに目をぎゅっと瞑った。
杏寿郎さんと訪れた居酒屋さんは
彼の家から歩いて10分ほどの場所で
静かで落ち着いた雰囲気のお店。
お酒もお料理も美味しくて、
他愛もない話をしながら食事を楽しむ。
楽しくてついついお酒が進んでしまう。
「おいしいです〜!
本当、素敵なお店ですね。」
「うむ。良いところだろう?」
「はい!なんだか大人な感じです。」
「そうだな。
俺たちだってそういう歳だろう?」
そう言う杏寿郎さんの顔は
ほんのり頬が赤くて色っぽい。
「ん〜」
「A?酔ったのか?」
頭がふわふわとして瞼が重たくなる。
杏寿郎さんは私に近づくと、水を差し出した。
「ほら、水飲んで。」
「大丈夫です…よ?」
重い瞼を一生懸命上げて応答するも
段々何を話しているのか分からなくなる。
「こら、ここで寝てしまってはいけないぞ。
そろそろ家に帰ろう。歩けるか?」
私は目を擦りながらなんとか立ち上がり
歩こうとするも、ふらふらとしてしまう。
杏寿郎さんに連れられて、
なんとかお店の外に出ると、
杏寿郎さんは私の前にしゃがみ込んだ。
「乗って!」
「え!?大丈夫ですってば。」
「馬鹿を言うな。ふらふらじゃないか!
大人しく乗って!」
私は申し訳ないけれど、
流石に危ないと思い、杏寿郎さんに甘えることにした。
「杏寿郎さん…」
「ん?」
「杏寿郎さんは酔ってはいないのですか?」
彼の肩に顎を乗せる。
身体が温かくて、涼しい風が気持ちいい。
「うーん。そこそこだな!
今日は控えめにしておいたんだ。」
「そうなのですか?」
「うむ!
なんとなくだが、君がこうなる気がしていてな!
いつも学校の打ち上げでも
あまりお酒を飲んでいないだろう?
もしかしたらお酒が弱いのかと思ってな。」
え!?
だとしたら何も考えずに
飲み過ぎてしまった自分が情け無い。
「すみません…」
「なぜ謝る?
君が俺に心を許しているから、
飲んでくれたのだろう?」
私は杏寿郎さんの肩に顔を埋める。
「謝るのは俺の方だ。
酔った可愛い君を見たくて止めなかった。」
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狐姫(プロフ) - 映画好き人間さん» 楽しんでいただけて光栄です!質問についてですが、お褒めにあずかり恐悦至極に存じますが、全くの一般人です。空想妄想で物語を作るのが好きなので、浮かんだ言葉や設定を繋ぎ合わせております。本当、勿体無いお言葉をありがとうございます。 (7月27日 10時) (レス) id: 12299479a5 (このIDを非表示/違反報告)
映画好き人間 - 毎日楽しく読ませていただいてます。作者さんの書く煉獄さんは本物の煉獄さんで大好きです。内容も素敵ですし、胸をときめかせながら読んでます。単純な質問なのですが、もしかして小説家ですか? 小説の内容も表現も凄くて、売られてる小説ぐらい上手ですので……。 (7月26日 13時) (レス) @page48 id: f9c87e3b18 (このIDを非表示/違反報告)
狐姫(プロフ) - nkmrさん» こちらこそ、お読みいただきありがとうございます!寒い時期の温泉良いですよね( ˊᵕˋ ) 続編も引き続きお楽しみください! (2021年12月30日 10時) (レス) id: 12299479a5 (このIDを非表示/違反報告)
nkmr(プロフ) - 年末の忙しい時期に更新ありがとうございます。続編も楽しみにしてます(・◡・)私も先週温泉に行ったので情景が浮かんでより物語に入り込んじゃいました(*´꒳`*) (2021年12月30日 2時) (レス) id: 1ab27b7589 (このIDを非表示/違反報告)
狐姫(プロフ) - みいさん» みいさん、いつもありがとうございます!デレてもらえるなんて嬉しいです。こっそりデレちゃってください( ˊᵕˋ ) (2021年12月19日 15時) (レス) id: 12299479a5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:狐姫 | 作者ホームページ:https://mobile.twitter.com/kohime_yume
作成日時:2021年12月1日 20時