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34.居ても立っても ページ34

〈杏寿郎 side〉


 その日は朝から君といられて幸せだったんだ。


 雨の中、傘をさして歩きたいと言う君を


 俺は止められなかった。


 優しい雨が傘をたたく音が素敵だなんて


 美しい心を教えてくれるから尚更だ。


 
 君のいない学校は、君が思っているより大変だ。


 保健室登校をする坂田は、君が1日いないことを知ると


 あからさまに元気がないんだ。


 裸足で駆けずり回る嘴平は、不死川に追われて


 廊下を勢いよく走り、ついには画鋲を踏む始末だ。


 いつもなら優しい君が保健室にいて


 素早く丁寧に対応してくれるけど


 今日はみんなで大慌てだった。


 我妻も相変わらずで、授業中に何度もいなくなったと

 
 職員室に連絡が来て様子を見にいくと、


 保健室の前でうずくまっていた。



 ほら、君を必要とする人がこんなにもいる。



 俺はその中の誰よりも君を必要としているんだ。


 気づいているだろうか?



 放課後、なかなか君からの連絡がなくて


 俺の心は落ち着かない。不甲斐ないがな。



 やっと駅の改札で君と会えた時


 俺が差し伸べた手をぎゅっと強く握られた。


 君を車に乗せ、雨の中家まで走るが、


 なんとなく表情が暗い。


 
 俺の家に着いて、君をソファに座らせると


 ぎゅっと抱きしめる。


 君はこのままだと寝てしまうなんて言うものだから


 俺は正直に言った。



「寝てしまえばいい。」



「寝てしまえば、そのまま今夜も一緒にいられるだろう?」



 それでも君はなびかない。


 今日は一人でいたいということだろう。


 無理には引き止めたくない思いと


 このまま帰してしまえばきっと一人で泣くのだろう…


 ならばそばにいてあげたい


 という思いで、俺は葛藤していた。



 
 今日の君は頑なで聞かないから


 俺はそっとしようと思い、君を家から送り出した。



 玄関で君が車に乗る様子を見守る。


 暗い雨の中、小さく遠くなっていく車を見ていると


 居ても立っても居られなくなった。



 急いで車の鍵を取ると、


 家の鍵を閉めて車に乗り込む。


 俺は、昔も今も君と行ったカフェへと車を走らせた。



「こんばんは!おやじさん!」


「ん?煉獄さんか!こんな時間にどうしたんだ?」


「おやじさん!昔からのよしみでお願いがある!」




「なんだ?」











「コーヒーゼリーを持ち帰りたいんだ!


 お願いできるだろうか?」
 

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設定タグ:煉獄杏寿郎 , 鬼滅の刃 , 夢小説   
作品ジャンル:アニメ
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狐姫(プロフ) - nkmrさん» いつもコメントありがとうございます!続編も引き続きお楽しみいただけるよう、頑張りますね( ˊᵕˋ ) (2021年12月1日 20時) (レス) id: d8f3f4bc3f (このIDを非表示/違反報告)
nkmr(プロフ) - 天元さんの発言に、新しい登場人物の匂わせで余計に続きが気になる終わり方…(*´꒳`*)続編も楽しみにしてます! (2021年12月1日 0時) (レス) id: 1ab27b7589 (このIDを非表示/違反報告)
狐姫(プロフ) - 柚葉さん» 柚葉さん!私もなんとか乗り越えました。コメントありがとうございます。その願いを胸に物語を書き続けますね! (2021年11月29日 18時) (レス) id: 12299479a5 (このIDを非表示/違反報告)
柚葉(プロフ) - 最終話、なんとか乗り越えました。狐姫さんのお話の煉獄さんと夢主さんは、不滅であることを願っています!! (2021年11月29日 5時) (レス) @page45 id: 33c3d87eb8 (このIDを非表示/違反報告)
狐姫(プロフ) - nkmrさん» nkmrさん、コメントありがとうございます!アニメ版、まもなく最終話ですね。まさに私の物語で描く煉獄さんは、あの優しい雰囲気をイメージして書いているので、それが伝わっていてとても嬉しく、感無量の極みでございます。最終話、一緒に乗り越えましょうね。 (2021年11月28日 22時) (レス) id: 12299479a5 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:狐姫 | 作者ホームページ:https://mobile.twitter.com/kohime_yume  
作成日時:2021年11月15日 18時

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