近藤 勲の恋人は局中医 弐【銀魂】

これからのこと ページ10

もうそろそろ2月も中旬に入るという頃。
やっと退院の目処が立ってきた。

ギプスは取れたし、お師様の鬼リハビリのお陰で、日常の歩行ぐらいなら問題なくできるようになった。そろそろ退院出来るだろうから、今後のことを考えときなとお師様に言われたが、さてどうしたものか。

ふうむと唸っていると、付けっ放しにしたテレビから人気の女子アナの声が聞こえてきた。

"そろそろバレンタインデーですね！今日はバレンタインデーにプロポーズを考えてる方向けの特集でーす！"

ああもうそんな季節か。
なんとなくそのままテレビを見続ける。

"去年は簪を渡すプロポーズが流行りましたが、やはり定番は指輪！王道のダイヤモンドから、ちょっと変わった宝石の指輪も紹介しまーす！"

プロポーズ、か。
自分の左手を眺める。中指が無くなった手。もう傷口は塞がったが見た目がアレなので包帯は巻くようにしている。
なくなったのが薬指でなくてよかった。…って、そもそもそんな相手もいないけど。自分の感覚ではまだまだ結婚を考える年齢でもないから、結婚というワードはピンと来ない。実年齢は適齢期なのだろうけど。

テレビに視線を戻すと、女子アナが宝石店で男性にインタビューをしていた。

"どれになさるんですかー？"
"いやぁ、悩みます。1番大切な人に贈るわけですから。"

大切な人。

"「…これは、大切な人が、くれた物なんだ。」"

先日の近藤さんを思い出した。
近藤さんも、その大切な人に指輪を贈ったりするのかな。

近藤さんはあれ以来、凄くマメにお見舞いに来てくれている。時には副長の土方さんや、一番隊隊長の沖田さんも一緒に。土方さんはぱっと見怖いし、沖田さんは時々サディスティックに笑うけど、みんな優しくて、良い人だ。

今後のこと、か。
記憶を失ったまま、歌舞伎町で1人町医者をやるよりは、元々居たという真選組で働いた方が安心できそうだ。
でも。

再び左手に目を落とす。
この手で、彼らの役に立てるだろうか。
利き手は右手だからそちらで細かい作業は出来るし、左手でも物を掴んだりとかはできる。
けれど、真選組には剣の腕も必要だ。
指が減れば握力も減る。加えて、刀の扱いは左手がキモだ。リハビリはしたけど、体は衰えている。体術にしたって、今まで通りには出来ないだろう。
こんな私に、真選組で働く資格はあるのだろうか。

コンコン、と思考を打ち止めるように扉がノックされる。
テレビを消して返事をすると、現れたのは近藤さんだった。

合法ロリ→←たいしたことじゃない

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す