俺は君の�� ページ6
Aちゃんが目覚めてそろそろ一週間。
俺は一週間ぶりに大江戸病院を訪れていた。
本当は毎日でも見舞いにきたかったが、彼女が俺の事を忘れてしまったという現実と向かい合うのが怖くて、足が遠のいてしまっていた。
けど、いつまでも逃げているわけにはいかない。
俺は意を決して、彼女の病室の扉をノックした。
『はーい。』
間延びした返事には懐かしさすら感じる。
中に入ると、ベッドの上に座っているAちゃんと目があった。
「や、やぁ。調子はどうかな？あっ、えーと、俺は…。」
『近藤さん？』
記憶がないはずの彼女が俺の名を呼んだので、思わず目が丸くなる。が、彼女は慌てて申し訳なさそうに続けた。
『あ、いえその記憶が戻ったわけではないんです、ごめんなさい。私が目を覚ました時に、貴方が1番最初に声をかけてくれたから、覚えてて。名前はあの後、お師様から聞きました。』
ごめんなさい、と彼女は再度謝る。
「いや、気にしないでくれ。記憶よりもまず、体を治さなきゃだもんな。」
意識を失ってから今日まで1ヶ月と少し、当初は痛々しく巻かれていた無数の包帯は今やほとんど外れ、目立つ傷は骨折している右手のギプスと…無くなってしまった左手の中指のあたりに巻かれた包帯だけとなっていた。
「手は、まだ痛む？」
『鎮痛剤を飲んでいますので、全然。大げさに手当てしてありますけど、もうほとんど治ってきてます。』
そう言って二本の腕を掲げ、Aちゃんはニコリと笑った。
『あの、近藤さん。失礼ですけれど、近藤さんと私の事を伺ってよろしいですか？お師様からは名前しか教えていただいていないので。』
「ああ。俺は近藤勲。真選組の局長で、君の…。」
一瞬、逡巡する。
Aちゃんは俺の事を覚えていない。10年分の記憶がないから、本人の感覚ではまだ新八くんやチャイナさんとそう変わらない精神年齢のはずだろう。
それなのに、俺みたいなオッさんと恋人同士と言われたら…。
『君の？』
「…上司、だよ。」
真選組とAちゃんの仕事の事を説明しながら、頭では別の事を考える。
記憶が戻る確証も、そもそもない。
Aちゃんがまた俺を好きになってくれる確証も。
もし、記憶が戻らなかったAちゃんが他の男を選ぶことになった時。
俺という記憶にない恋人の存在が、彼女にとって枷になるんじゃないだろうか。
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まつ - 近藤さんの優しさや芯のある強さを繊細に描いてくださりありがとうございます！月花さんの性格や言動も、誇り高く賢さを感じてとても好感が持てました！ (4月24日 13時) (
レス) @page46 id: 9000a0584e (このIDを非表示/違反報告)
岡Ｐ(プロフ) - 素敵なお話しですね。優しく、愛情深い近藤さんの魅力が溢れ、胸ときめきながら読ませて頂きました。これからも素敵なお話し楽しみにしています。頑張って下さいね。 (2021年1月22日 4時) (携帯から) (レス) id: 8256504f4a (このIDを非表示/違反報告)
こたつむり(プロフ) - 心咲さん» やる気が出るコメント、ありがとうございます！続編はかなり遅くなるとは思いますが、必ず完成させますのでどうかお待ちくださいm(_ _)m (2018年12月6日 8時) (レス) id: 88093f805b (このIDを非表示/違反報告)
心咲 - とにかく最高!素晴らしい作品です(^^)本家の本になってくれたらと思うほどの作品です♪近藤さんファンにはたまらないです！続き楽しみにしてます♪ (2018年12月3日 10時) (レス) id: efaa18aec6 (このIDを非表示/違反報告)
こたつむり(プロフ) - ななしさん» 正しくは"力不足"でした…。ご指摘、ありがとうございます！ (2018年11月27日 23時) (レス) id: 88093f805b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：こたつむり | 作成日時：2018年9月25日 0時
