赤提灯とグラサンと�� ページ38
前から思っていたが、奉仕精神？自己犠牲心？っつーのがコイツには前提である。だがそれもここまで来ると面倒くさい。
「お前はもしゴリラと結婚したら、自分が幸せになれるとは思わねぇの？」
『えっ？…私は、幸せになると思います。でも』
「"でも"じゃねー！いいか、お前が幸せならゴリラも幸せなんだよ！」
まだAは納得し切れない顔だ。
「お前は分かんねぇけどよ、ゴリラは随分前からお前と結婚することは考えてたと思うぜ。」
『近藤さんが？』
俺は酒を継ぎ足して、それを一気に飲み干す。
「…お前が怪我をして意識を無くしていた時期があっただろ。あの時ゴリラは1日も欠かさずに、毎日毎日お前の見舞いに行ってたんだよ。」
今度はAが俺の話に耳を傾けていた。
「返事もねぇのに毎日お前に話しかけて、身体が凝り固まらないよう、毎日動かない手足をマッサージして。お前に忘れられても、自分が恋人だったってことは言わずにまた一からお前を口説き直して。そんなの、よっぽど強ェ想いがねぇとできねぇだろ。」
Aを見ると、俯いてグラスを見つめていた。
「…自信持てよ。確かにお前は家庭的じゃねぇかもしれないし、でっけぇ胸もねぇよ。」
『そこまで言ってないです。』
「けど、アイツが一番好きになったのはお前のその真っ直ぐな中身だろ。人に優しく自分に厳しく、困ってる奴がいたら自分の身を顧みず笑顔で手を差し出す。」
昔からそういう奴だ、Aは。
「お前がアイツを好きになったのも、そういう所があるからなんじゃねぇの？よく似てるよ、お前ら。」
アイツも人を疑わず、傷を負うことを厭わず、笑顔でなんでも背負いこむ。
「…相手を必ず幸せにする自信がある奴なんて、いないだろ。でも相手を幸せにしたい、一緒に笑っていたい、そう強く思えりゃ…それが、覚悟ってもんなんじゃねーの。」
『銀さん…。』
「そう！そういうこと！」
突然長谷川さんガバリと起きて言った。
「うおっ！なんだよ！」
「結婚っつーのはゴールじゃねぇ、始まりなんだよな。不完全な2人が寄り添って、お互いがお互いの足りない所を補い合って、各々の幸せの形を見つけてく。そういうもんよ！」
「足りない所だらけの長谷川さんは、奥さんの何を補えてんの？」
「もうやめてぇぇえ！」
再び突っ伏した長谷川さん越しにAを見る。
Aはいつもの笑顔になって、笑っていた。
そう。そうやってお前はいつも笑ってりゃいいんだ。
アイツのそばで。
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まつ - 近藤さんの優しさや芯のある強さを繊細に描いてくださりありがとうございます！月花さんの性格や言動も、誇り高く賢さを感じてとても好感が持てました！ (4月24日 13時) (
レス) @page46 id: 9000a0584e (このIDを非表示/違反報告)
岡Ｐ(プロフ) - 素敵なお話しですね。優しく、愛情深い近藤さんの魅力が溢れ、胸ときめきながら読ませて頂きました。これからも素敵なお話し楽しみにしています。頑張って下さいね。 (2021年1月22日 4時) (携帯から) (レス) id: 8256504f4a (このIDを非表示/違反報告)
こたつむり(プロフ) - 心咲さん» やる気が出るコメント、ありがとうございます！続編はかなり遅くなるとは思いますが、必ず完成させますのでどうかお待ちくださいm(_ _)m (2018年12月6日 8時) (レス) id: 88093f805b (このIDを非表示/違反報告)
心咲 - とにかく最高!素晴らしい作品です(^^)本家の本になってくれたらと思うほどの作品です♪近藤さんファンにはたまらないです！続き楽しみにしてます♪ (2018年12月3日 10時) (レス) id: efaa18aec6 (このIDを非表示/違反報告)
こたつむり(プロフ) - ななしさん» 正しくは"力不足"でした…。ご指摘、ありがとうございます！ (2018年11月27日 23時) (レス) id: 88093f805b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：こたつむり | 作成日時：2018年9月25日 0時
