桜の花と友 ページ26
快晴。絶好のお花見日和。
少し風があるが、それも桜が舞ってまた良い。
私は数年ぶりのお花見を、堪能していた。
「Aさんの記憶の回復を祝って…乾杯！」
という掛け声で宴が始まった時、初めてこの花見が私の為に催されたものだと知らされた。凄く驚いたし恐縮したが、嬉しかった。
一度乾杯が始まるとあとはいつもと同じように、皆思い思いに飲み、宴は賑わっていた。
私も記憶を取り戻してから改めて会う面々に挨拶をする為に、酌に回る。
妙ちゃんやお登勢さん。キャサリンさんに玉さんや鉄子さん、松平様にお師様。本当に沢山の人が集まっていた。
少し離れた所に銀色の髪を見つけて、私は近づく。
「よォ、飲んでるか？」
『ええ。銀さんもどうぞ。』
銀さんのお猪口にお酒をそそぐ。
「まさか俺たちが他の星に行ってる間に記憶が戻ってるとはな。良かった良かった。」
『おかげさまで。銀さん達は、1ヶ月以上もどこに行っていたんですか？』
銀さん達は先日地球に戻ったばかり。
記憶を取り戻してから会うのは、今日が初めてだった。
「お前に恩返しをしようと思ってさ。」
銀さんはそう言うと、懐から煙草と同じぐらいの大きさの箱を取り出し、手渡して来た。
開けるように促され、中身を確認する。
『これは…義指？』
中身は銀色の指のような物が1本、入っていた。
持ってみると大した重さは感じないが、中身には精密な部品や配線がぎっちり詰まっているのが見てとれる。
「夜兎族ってのは義肢に詳しいらしくてな。神楽の親父に連絡とって、海坊主御用達の技術者に作ってもらったんだ。本物の指のように動かせるし、力も入る。地球産とは比べもんにならねェはずだ。」
『その為にわざわざ宇宙へ…？』
「言ったろ？恩返しって。俺はお前に命を救われたからな。本当は指1本ぐらいじゃ足りねェのかもしれねェが…」
『そんなことないです！』
遮るように大きな声を出すと、銀さんが驚いたような顔をした。
『医者が怪我人を助けるなんて、当たり前でなんでもないことなのに、恩返しだなんて…指1本で、十分おつりも出ますよ…。』
嬉しかった。
思わず涙が出るほどに。
「あっ！銀ちゃんがA泣かせてるアル！」
「ちょっと銀さん何してるんですか！」
神楽ちゃんと新八くんが駆け寄ってくる。
「ちょっ、ちげーって！誤解だ誤解！」
わちゃわちゃと揉み合う3人に、飛び込むように抱きついた。
この素晴らしい友人達を、私は二度と忘れないと誓った。
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まつ - 近藤さんの優しさや芯のある強さを繊細に描いてくださりありがとうございます！月花さんの性格や言動も、誇り高く賢さを感じてとても好感が持てました！ (4月24日 13時) (
レス) @page46 id: 9000a0584e (このIDを非表示/違反報告)
岡Ｐ(プロフ) - 素敵なお話しですね。優しく、愛情深い近藤さんの魅力が溢れ、胸ときめきながら読ませて頂きました。これからも素敵なお話し楽しみにしています。頑張って下さいね。 (2021年1月22日 4時) (携帯から) (レス) id: 8256504f4a (このIDを非表示/違反報告)
こたつむり(プロフ) - 心咲さん» やる気が出るコメント、ありがとうございます！続編はかなり遅くなるとは思いますが、必ず完成させますのでどうかお待ちくださいm(_ _)m (2018年12月6日 8時) (レス) id: 88093f805b (このIDを非表示/違反報告)
心咲 - とにかく最高!素晴らしい作品です(^^)本家の本になってくれたらと思うほどの作品です♪近藤さんファンにはたまらないです！続き楽しみにしてます♪ (2018年12月3日 10時) (レス) id: efaa18aec6 (このIDを非表示/違反報告)
こたつむり(プロフ) - ななしさん» 正しくは"力不足"でした…。ご指摘、ありがとうございます！ (2018年11月27日 23時) (レス) id: 88093f805b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：こたつむり | 作成日時：2018年9月25日 0時
