春が来る ページ25
Aさんの記憶が戻った。
局長の喜びようはそれはもう凄かったし、副長や沖田隊長も局長ほどは表には出さないけど、安心しているのが見て取れた。
嬉しいのは俺達隊士も皆同じだ。
やっと屯所に日常が戻った、そんな気分だった。
『お花見ですか？』
「はい。毎年真選組でやってるんです。去年はAさんの異動の前にやっちゃってたんですけど。」
今年の花見の日時が決まったので、俺は医務室へそれを報せに行っていた。Aさんはキョトンとした顔の後、すぐに嬉しそうに笑った。
『わぁ、すごく楽しみです！』
「真選組だけじゃなくて、万事屋の旦那達や橘先生達にも声をかける予定です。パーっとやりましょう！」
本人にはまだ言わないが、これはAさんの記憶が戻ったお祝いでもある。意外なことに、発案者は沖田隊長だった。
『で、私は何をお手伝いすればいいんですか？』
「いえ、場所取りは旦那達に依頼しますし、酒も食事も、全部業者に頼みます。Aさんは手ぶらで来てください。」
祝いの主役に手伝いなんかさせたら、沖田隊長に何されるか分かったもんじゃないからな。
『そうですか…。前日の夜中から、ゲーム機片手に場所取りをする人をテレビで見たことがあるので、面白そうだと思ってたのですが…。』
「いやそこまでガチで場所取りしなくても大丈夫ですから！」
ふふふ、とAさんが笑う。
『お花見、すごく楽しみです。本当にありがとうございます。』
「俺達も楽しみです！」
なんだか良い雰囲気で話をしてると、医務室の扉がスパァンと開いた。
「Aちゃん！今度の週末、みんなで花見をするんだけど…。」
『あ、今山崎さんから聞きました。』
「うおっ！いたのかザキ！」
俺の影が薄いのか、局長はAさんしか見えてないからなのか分からんが、失礼だな、もう。
「ま、そういうことだから。服買いに行こ！服！俺今日この後非番だから！」
『お花見のためにわざわざ新しい服買わなくても
…それに私はまだ仕事が』
「いーからいーから！」
そう言うと、局長はAさんを嵐のようにあっと連れ去ってしまった。
1人ポツンと残された俺は、やれやれとため息をつきながら、医務室を出て扉をそっと閉める。
あんなにはしゃいじゃって、そろそろ副長に怒られても知ーらない、っと。
でもあんなに幸せそうな2人を見るのは、悪い気分はしない。
ふわり、と風に乗って桜の花びらが1枚、渡り廊下に落ちた。
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まつ - 近藤さんの優しさや芯のある強さを繊細に描いてくださりありがとうございます！月花さんの性格や言動も、誇り高く賢さを感じてとても好感が持てました！ (4月24日 13時) (
レス) @page46 id: 9000a0584e (このIDを非表示/違反報告)
岡Ｐ(プロフ) - 素敵なお話しですね。優しく、愛情深い近藤さんの魅力が溢れ、胸ときめきながら読ませて頂きました。これからも素敵なお話し楽しみにしています。頑張って下さいね。 (2021年1月22日 4時) (携帯から) (レス) id: 8256504f4a (このIDを非表示/違反報告)
こたつむり(プロフ) - 心咲さん» やる気が出るコメント、ありがとうございます！続編はかなり遅くなるとは思いますが、必ず完成させますのでどうかお待ちくださいm(_ _)m (2018年12月6日 8時) (レス) id: 88093f805b (このIDを非表示/違反報告)
心咲 - とにかく最高!素晴らしい作品です(^^)本家の本になってくれたらと思うほどの作品です♪近藤さんファンにはたまらないです！続き楽しみにしてます♪ (2018年12月3日 10時) (レス) id: efaa18aec6 (このIDを非表示/違反報告)
こたつむり(プロフ) - ななしさん» 正しくは"力不足"でした…。ご指摘、ありがとうございます！ (2018年11月27日 23時) (レス) id: 88093f805b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：こたつむり | 作成日時：2018年9月25日 0時
