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もう忘れない ページ24

ここは、どこだ?
Aちゃんを探しに行って…それで…。

重い体を起こすと、額からパサリと湿った手ぬぐいが落ちた。ここは…医務室?どうしてここに…。

すぐ隣に人の気配を感じて見ると、Aちゃんが椅子に座ったまま、こっくりこっくりと船を漕ぐよう寝ていた。
ぐらり、と椅子から落ちそうになった彼女の体を慌てて抱きとめる。
その衝撃で目を覚ましたのか、Aちゃんの瞼がゆっくりと開いた。

『近藤…さん…?』
「あっ、いやその、ごごごごめん!」

慌ててAちゃんから身体を離そうとすると、予想外にぐいっと引き寄せられた。
Aちゃんは俺の首に手を回し、ギュッとしがみつく。

え、これ、どういうこと?

思考が追いつかないでいると、Aちゃんが掠れた声で言った。

『ごめんなさい…。』

え?

『もう、絶対に忘れません。だ、大好きです。だから…。』

段々と泣きじゃくるように話す彼女の背中を、ポンポンとあやすように軽く叩く。

「あの…もしかして、なんだけど。全部思い出した?」

俺がそう尋ねると、Aちゃんは俺の胸の辺りで頷き、一層強く抱きついてきた。

そっか。記憶が戻ったのか。

俺も思わず、彼女を力強く抱きしめた。








「いやぁ〜、風邪なんて引いたのは何年振りかなぁ。」
『本当に、私のせいですみません。』
「いやいやいやいや!気にしないで!俺としてはこうして付きっ切りで看病してもらえて、かえってご褒美だから!」

俺がそう言うと、Aちゃんは照れたように笑った。どうやら俺は橋の上で、高熱で倒れたらしい。Aちゃんが薬を飲ませてくれたようで、もうすっかり体調は良くなっていたが。

『念のため、あと1日は同じ薬を飲んでくださいね。』

彼女はそう言って、小さなカプセルがいくつか入った袋を俺に渡す。ん?同じ薬…?

「これって、飲み薬だよね?」
『はい。』
「俺が眠っている間って、どうやってこれ飲ませたの?」
『えっ。』

Aちゃんの顔がみるみる赤くなる。
俺は少し意地悪をしたくなって、彼女に近寄ってさらに問い詰める。

「ねぇねぇ。」
『えーと、ですね。』
「もしかして、こんな感じ?」
『え』

彼女の言葉を遮るように、その唇を塞ぐ。
深く、深く。
記憶がなかった時期の寂しさを埋めるように、何度も何度も繰り返した。

『っは…。』

十分に堪能した後で顔を離すと、Aちゃんは真っ赤な顔で涙目になっていた。

『〜っ!病人は大人しく寝てください!』

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まつ - 近藤さんの優しさや芯のある強さを繊細に描いてくださりありがとうございます!月花さんの性格や言動も、誇り高く賢さを感じてとても好感が持てました! (4月24日 13時) (レス) @page46 id: 9000a0584e (このIDを非表示/違反報告)
岡P(プロフ) - 素敵なお話しですね。優しく、愛情深い近藤さんの魅力が溢れ、胸ときめきながら読ませて頂きました。これからも素敵なお話し楽しみにしています。頑張って下さいね。 (2021年1月22日 4時) (携帯から) (レス) id: 8256504f4a (このIDを非表示/違反報告)
こたつむり(プロフ) - 心咲さん» やる気が出るコメント、ありがとうございます!続編はかなり遅くなるとは思いますが、必ず完成させますのでどうかお待ちくださいm(_ _)m (2018年12月6日 8時) (レス) id: 88093f805b (このIDを非表示/違反報告)
心咲 - とにかく最高!素晴らしい作品です(^^)本家の本になってくれたらと思うほどの作品です♪近藤さんファンにはたまらないです!続き楽しみにしてます♪ (2018年12月3日 10時) (レス) id: efaa18aec6 (このIDを非表示/違反報告)
こたつむり(プロフ) - ななしさん» 正しくは"力不足"でした…。ご指摘、ありがとうございます! (2018年11月27日 23時) (レス) id: 88093f805b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:こたつむり | 作成日時:2018年9月25日 0時

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