目覚めたひと�� ページ3
「俺も疑問に思ってたんだ。なんで"白夜叉"なんだ、ってな。」
「ああ、それかい。」
銀時の疑問に答えるように橘が声を出す。
「そりゃあアンタが昔アタシの野戦病院に来たからだろ。」
「っ！？…覚えていたのかババァ！？」
ガタリと椅子の音を立てて、銀時が思わず立ち上がる。
「どういうことですか？銀さん。」
新八が尋ねると、銀時はワシワシと頭を掻きながら、再び椅子に座った。
「…随分昔のことだ。攘夷戦争中にヘマをしちまった事があった。仲間ともはぐれて、それなりの大怪我で、もうこのまま死ぬかと思ってた時、アイツが…Aが俺を助けてくれたんだ。」
銀時は遠くを見ているような目で続けた。
「戦場に転がってた俺を病院まで引きずって。そのあと高熱が出た俺を三日三晩看て。…俺はアイツに命を救われたんだ。」
「そんな経緯があったのか。」
「ああ。しかし、他にも大勢怪我人がいたし、熱が引いた後はすぐに病院を抜け出したからな。まさか俺の事を覚えてるとは思わなかったぜ。」
「アタシもあの子も一度診た患者の顔は忘れないからね。」
橘がニヤリと笑って言う。
「江戸でアンタに再会した時から気付いていたよ。ただ、攘夷志士だった事が周りに知れるのはマズイんじゃないかと思って、知らないフリをしていただけさ。ま、そこのゴリラも知っているようなら問題ないようだがね。」
「そうか。Aちゃんが万事屋の事を覚えていたのは、そういうわけだったのか…。」
近藤は納得したような顔をしたあと、続けて橘に問うた。
「して、橘殿。Aちゃんの記憶は…戻るのですか？」
近藤の質問に一同がゴクリと喉を鳴らす。
「…人間の記憶ってのは、消えるもんじゃない。必ず脳味噌の中にある。小さな引き出しが沢山付いたタンスが頭の中に並んでいる。記憶は必ずそのタンスのどこかにある。あの子は今、どのタンスにそれを仕舞ったのか忘れちまってるのさ。」
「じゃあ思い出すアルか！？」
「ああ。だが、それが明日か明後日か数年後か。それより先に寿命が来ちまうか。それは医者にも分からんね。」
橘の希望とも絶望とも取れる話に、一同は再び黙りこくってしまった。
「まぁ暗い顔すんじゃないよ。こうして目は覚ましたんだ。また何かのきっかけで、ひょいと記憶が戻ることは十分ありえるさ。あんた達、ちょいちょい見舞いに来て刺激してやんな。」
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まつ - 近藤さんの優しさや芯のある強さを繊細に描いてくださりありがとうございます！月花さんの性格や言動も、誇り高く賢さを感じてとても好感が持てました！ (4月24日 13時) (
レス) @page46 id: 9000a0584e (このIDを非表示/違反報告)
岡Ｐ(プロフ) - 素敵なお話しですね。優しく、愛情深い近藤さんの魅力が溢れ、胸ときめきながら読ませて頂きました。これからも素敵なお話し楽しみにしています。頑張って下さいね。 (2021年1月22日 4時) (携帯から) (レス) id: 8256504f4a (このIDを非表示/違反報告)
こたつむり(プロフ) - 心咲さん» やる気が出るコメント、ありがとうございます！続編はかなり遅くなるとは思いますが、必ず完成させますのでどうかお待ちくださいm(_ _)m (2018年12月6日 8時) (レス) id: 88093f805b (このIDを非表示/違反報告)
心咲 - とにかく最高!素晴らしい作品です(^^)本家の本になってくれたらと思うほどの作品です♪近藤さんファンにはたまらないです！続き楽しみにしてます♪ (2018年12月3日 10時) (レス) id: efaa18aec6 (このIDを非表示/違反報告)
こたつむり(プロフ) - ななしさん» 正しくは"力不足"でした…。ご指摘、ありがとうございます！ (2018年11月27日 23時) (レス) id: 88093f805b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：こたつむり | 作成日時：2018年9月25日 0時
