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玄関のドアをくぐると、白い壁と玄関の床に、一段高くなった木のフローリングの廊下が奥まで続いていた。
Aちゃんも俺の後に続いて入ると、パタンとドアを閉じる。
「ただいま〜」
彼女のその声を合図にバタバタと足音がしたかと思うと、奥にあった扉がバッと開いて、顔のよく似た小さい男の子二人が駆け寄ってきた。
小学校低学年くらいの二人は、俺たちの前で立ち止まる。
「おかえり、ねぇちゃん!!」
一人がそう元気な笑みを浮かべる一方で、
「…お、おかえり」
と、もう一人は俺を見るなり、片方の子の後ろに隠れた。
チラチラと何だか少し怯えたようにこちらを伺う顔も、キラキラとした眼差しでこちらを見る顔も、どことなくAちゃんと似て、美形の顔だ。
俺は、二人の目線に合わせるためにその場でしゃがみこむ。
「初めまして、お姉ちゃんの彼氏の黒尾鉄朗です」
「てつろー?」
そう首を傾げて言う弟くんに、
「あ、ちょっと、修! 呼び捨ては…」
と、止めようとするAちゃんをチラッと見て、ニコリと笑う。
彼女は俺のことをじっと見ると、少し申し訳なさそうに笑った。
「うん、そうだよ、てつろー。二人のことはなんて呼べばいい?」
「おれはしゅうじだから、しゅうでいいよ!」
「あ…あきら、」
「じゃあ、しゅうとあきら! 今日はよろしくな」
そうニカッと笑えば、しゅうはうんっ!と大きく頷いてくれ、あきらも少し心を許したようにこくりと頷いてくれた。
そしてそのまま、またドタバタと出てきた扉の方へと戻っていく。
「すみません、騒がしくて」
「いいや、全然ダイジョウブ。にしても、可愛いなぁ、あの二人」
俺のその言葉に、彼女は得意げに、そして嬉しそうに笑う。
「でしょう? 自慢の弟たちなんです」
「良いなぁ。双子?」
「はい。母がジャニーズ好きで、双子って決まった時から男の子なら『修二』と『彰』ってつけるって決めてたんです」
「あぁ〜やっぱり? 俺もそうかと思った」
そう言ってちょっとだけ笑いあって、彼女に促されるまま玄関に上がる。
前を歩く彼女について、双子の通った扉を通れば、リビングとダイニング、それからキッチンが一緒になった部屋が広がった。
「お邪魔します」
「ただいま」
そう言うと水の流れる音が止み、左手側にあるソファからひょこっと女の子が一人、そして、右手側にあるオープンキッチンから一人の女の人がこちらを見た。
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るわ - この作品大好きです……!クロかっこよい!更新頑張ってください! (2022年5月22日 22時) (レス) @page36 id: b608b76010 (このIDを非表示/違反報告)
mifulu(プロフ) - kanaさん» ありがとうございます。まだ本格的に再開はできないのですが、もうすぐ更新再開出来ると思います。長い間お待たせしてすみません( .. ) より楽しんで頂けるよう頑張ります! (2021年3月8日 0時) (レス) id: 8a345cf79f (このIDを非表示/違反報告)
kana(プロフ) - おはようございます!このお話大好きです!キュンキュンします(*´-`*)受験頑張ってください!(^^)また更新される日を楽しみに待っています!(*^^*) (2020年7月31日 6時) (レス) id: d202a80bf0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:mifulu | 作成日時:2020年6月5日 18時