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そのななじゅうご ページ31

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烏野と音駒の公式試合。

今日の試合までまだ時間があった俺は、木兎さんと一緒にその試合を見ていた。

丁度二セット目が始まった頃、木兎さんが声をかけた谷地さんの横で、静かに見守るAさんが気になって、そっと横に並ぶ。


「大丈夫?Aさんも深刻な顔してるよ」


俺が言えることではないが、必要な時以外あまり表情の変わらない彼女が、複雑な顔をしている。

色んなものが交じったようなその表情はとても新鮮だ。


「…今、私がどういう立場でここにいるのか分からなくて」


彼女は、横に並んだ俺を見上げた後、試合が行われているコートを見ながらそうこぼした。

俺も彼女と同じようにコートを見つめつつ、彼女の言葉に耳を傾けた。


「烏野が勝って欲しいと思って見るのは、烏野のマネージャーとして。この試合をただ楽しんで見るのは、一人の観客として」


合宿の夜の自主練で関わったくらいで、そんなに回数的にも時間的にも多くを共有した訳では無い。

それでも、彼女がこうして弱音や悩みを他人にぶつけるのは珍しいことだと分かった。

だから、躊躇いがちにぽろぽろと独り言のように零れる言葉たちを聞いて、ゆっくりと拾い集める。


「…それなら今こうして、この試合が終わって欲しくない、と思って見る私は…何なんでしょうか」


その言葉に引っ張られるようにして見た彼女の横顔は、何か思い詰めているみたいな、そんな顔で。

ゆらゆらと揺れながらも、芯がしっかりした瞳は、真っ直ぐコートにむけられている。

俺が何も言わずに彼女のことを見つめているからか、彼女は一瞬だけこちらを振り向いた。


「…コートでは選手が全力で頑張っているのに、マネージャーは何もすることが出来ません。それなのに、更に私情を挟んで試合を見るなんて、マネージャー失格ですね」


自嘲気味に放たれた言葉に、ふと目に入った拳は力強く握りしめられていた。

俺は彼女の横顔を一目見て、それから、コートへ視線を戻す。


目は口ほどに物を言う、と聞いたことがある。

自分が生きてきた中で、何度か経験したことがあるし、目どころか体全てで語る木兎さんといるのだから、不思議だと思ったことは無い。

だが、今ほどにそれを感じたことは無かった。

試合へ向けられる興奮と期待、烏野に対しての応援、そして、寂しさと不安と悲しさがゆらゆらと揺れていた。


…あぁ、何となくわかる気がする。


そんなふうに思いながら、そっと口を開いた。

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mifulu(プロフ) - 宇宙。さん» ありがとうございます! そう言って頂けてとても嬉しいです! 他のハイキューキャラの小説もいつか作ろうと思っているので、また読んで頂けると嬉しいです(´˘`*) (2020年6月15日 7時) (レス) id: 78d3fcb26b (このIDを非表示/違反報告)
宇宙。(プロフ) - あの!!最高でした!!黒尾先輩がめっちゃ黒尾でした(?)推しの最高な物語読めて嬉しいです、ありがとうございました。もしよろしければツッキーとか影山とか、あかーしとか、書いてくれると嬉しいです! (2020年6月15日 3時) (レス) id: 68b0101532 (このIDを非表示/違反報告)
mifulu(プロフ) - 伽音さん» ありがとうございます! そのお言葉で、私もニヤけてしまいます笑 これからも楽しんで貰えるような作品をお届け出来るよう、頑張ります。 (2020年6月4日 22時) (レス) id: 856ce52b7f (このIDを非表示/違反報告)
伽音(プロフ) - 面白くて、ニヤケながら86話を一日で読んでしまいました!良い小説ですね!お疲れ様です!これからも応援してます! (2020年6月4日 19時) (レス) id: b1d06a9201 (このIDを非表示/違反報告)
mifulu(プロフ) - ルだ子さん» 嬉しいお言葉、ありがとうございます! 楽しんで頂けたようで幸いです(´˘`*) まだ制作中ですので、もう少しお待ち下さい。 (2020年6月1日 21時) (レス) id: 856ce52b7f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:mifulu | 作成日時:2020年4月26日 18時

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