好きで、ごめんね 2

好きも嘘も 1 ページ21

貴女side

あれから一年。私達は市民ホールの舞台の上で拍手を浴びていた。

ア「これより、20分の休憩とさせていただきます」

そのアナウンスとともに舞台は暗くなり、私達は舞台袖へと急いだ。そう、今日は定期演奏会。私達、3年の最後の舞台。

後「A先輩！ あと残すは、2部ですね！」

フルートパートの後輩が私の元へかけながらそう言う。

貴「うん、そうだね！」

私はそう答えながら、そっと前をチラ見する。そこには、佑生と山畑の姿があった。2人はまだまだラブラブ。そんな光景を見ながら、私は心の奥が痛むのをキュッと堪えた。

後「先輩？」

後輩が私を心配そうに覗き込んでいた。

貴「ごめん！ もう終わりだなーって思ってたら、寂しくなっちゃって」
後「先輩……泣」
貴「さ、音程合わし直そうか。もうすぐ2部が始まるからね！」
後「はい！」

私は目の前の光景を思い出さないよう、必死に言葉を紡いだ。

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まだ、私は捨てきれない。この想いを。ただ日に日に好きが増えていくだけ。

この日に来るまでいろいろあった。部活でハミられて。佑生と喧嘩して。でも、その度に助けてくれるのは、山畑だった。

優しくしないで、関わらないで。そう思っても、関わりがなくなると寂しいと思っている。馬鹿だな……私。もう、方法はこれしかないと思うから。

あの日できなかった事を、今度はちゃんとやろう。ちゃんと伝えよう。好きってことを。2人をひきはなそうなんて思ってない事を。だれよりも、2人が幸せになってほしいって思ってることを。

ごめんね、今日だけ。それで終わらせるから。

好きも嘘も。

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