好きで、ごめんね 2

後悔と変わらない想い 4 ページ14

梨華side

私は言葉に詰まった。それでも、必死に探し出してようやく見つかった言葉。それは、

梨「当たりなさい……」

だった。

貴「えっ………？」

その言葉を聞いたAはさっきの泣きかけて訴えていたことも忘れ、困惑しきった声で聞き返した。

梨「だから、当たりなさい。山畑にぶつかって倒すぐらい当たりな」
貴「……！ だから……あいつは佑生のことが……！ それに迷惑…！」
梨「じゃあ、諦められるのね？ きっぱり」
貴「それは……」
梨「去年のこともあるからわかるはず。気持ちを伝えられなかった事を後悔するか、気持ちを伝えた事を後悔するか。どっちのほうが諦められるか」
貴「…………」

しばらくの間、スマホの向こうからは何の音もしなくなった。

貴「言ったら…言えたら……ラクになる？」

重たい沈黙を破ったAの声は、先程より少し明るくなったように聞こえた。

梨「うん、多分」
貴「でも、フラれて…同じ部活だからきまずく………？」
梨「なるかもね」
貴「でも、言わないと、きっと諦められない。気持ち抱えたまま、2人を心から祝福できない」
梨「………」

少しシーンとしてから、Aの声がまた聞こえた。

貴「……言う」
梨「へ…？」

驚きのあまり変な声が出てしまった。もっと時間がかかるかと……

梨「ごめん……」
貴「いいよ！ …伝えるよ、自分の気持ちと向き合うよ」
梨「本当に…？」
貴「うん……！」
梨「頑張って！ 結果、教えてよ」
貴「うん…！ 慰める準備しといてね…」
梨「え…めんどくさいw」

だってもう、結果も全てわかってるから。頑張って。

後悔と変わらない想い 5→←後悔と変わらない想い 3

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す