どこの親も結局はみな親バカ ページ9
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紺色の長い髪を頭の下の方で結い上げ、赤を基調とした着物に身を包んだ美女が襖を開けた先から出てきた。
部屋にいる人はみな、息を飲んだ。それは、女であるチャイナでさえも。
「ちょ…そんな黙られると怖いんだけど」
その美女が少しおどけたように言う。
見た目は2年で色っぽく大人っぽくなったが、中身は変わっていないようで、改めてAなのだと感じさせる。
すると、なぜか泣いている万事屋がAの肩に手を乗せた。
「えっ、ちょっと何泣いてるの。銀ちゃん」
「いや…娘を嫁に出すお父さんの気持ちが今よく分かった…」
「意味不明なこと言わないで、これはお仕事なんだから」
そう、これは万事屋への依頼だった。
時は一ヶ月前に遡る。
その依頼を伝えた時の、ほとんど二年ぶりに会った万事屋の反応は未だに覚えている。
依頼の内容は、将軍の嫁役を三ヶ月間することだった。
俺の婚約者役に将軍の嫁役に大変だな、などと他人事のように思いながら、俺は横にいる総悟を横目で見た。
総悟は僅かに動きを止め、少しの間Aを見つめるが、すぐ目をそらした。
─本当は、この依頼を伝えるのを躊躇していた。
この二人を、もう一度会わせることが本当に正しいのか、ずっと分からなかったからだ。
俺は、また前を向いてAを見る。
Aは少し控えめに俺の隣に目をやり、少しばかり悲しそうな目をしてまた元に戻す。
そして、両者互いに目を合わせる事なく、その場にいないかのように接する。
しかし、あまりにもナチュラルにやるので、あの気遣いのメガネでさえ気を遣わず話している。
そんな中、二人の変な空気を感じることができたのは、俺と万事屋だけだった。
少しばかりその場で話していると、近藤さんが嬉しそうに笑いながら言った。
「いやー、でも本当に綺麗になったなァ。
もしかしたら、将軍様の本当の嫁さんになっちゃうんじゃねーか?!」
総悟が少しピクリと動いた気がした。
チャイナも、一生酢昆布食べ放題アルカ! などとはしゃいでいる。
「そんなわけないよ! もっとふさわしい人がいるって!」
なんて苦笑いする様子を、俺は見つめた。
でもこの容姿で、しかもこの依頼は将軍直々のものだ。
可能性がないわけではない、いや、むしろ高い。
最後に、俺はもう一度総悟を見た。
表情はいつもと変わらないポーカーフェイスだが、悲しそうなそんな風に見えた。
御台所って位のわりに名前はかっこよくない→←親はいつだって子供の幸せを願うもの
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mifulu(プロフ) - 吉羅さん» 最後までお付き合い頂き、ありがとうございます! (2019年9月13日 11時) (レス) id: 8b6c4aa189 (このIDを非表示/違反報告)
吉羅 - すごく泣けます!(泣いてないけどw)沖田が手紙と花束を渡すとこ、あれが1番良いです。結婚完結もよかったです!これからも頑張ってください!! (2019年6月3日 16時) (レス) id: 2c9031588c (このIDを非表示/違反報告)
mifulu(プロフ) - 金欠女子wさん» 読んでいただいて、ありがとうございます! (2019年1月10日 22時) (レス) id: f591e17e69 (このIDを非表示/違反報告)
mifulu(プロフ) - すずさん» いつも、ありがとうございます! (2019年1月10日 22時) (レス) id: f591e17e69 (このIDを非表示/違反報告)
金欠女子w(プロフ) - 更新お疲れ様です! (2019年1月10日 21時) (レス) id: 5ee93ef12b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:mifulu | 作成日時:2018年11月8日 23時