1年とちょっと ページ6
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「ただいま〜…」
暗く誰もいない静かな万事屋に、私の声が寂しく響いた。
まだ、銀ちゃん帰ってきてないんだ。
神楽はまだ帰ってくる予定じゃないし…新八も今日は来れないんだっけか。
私はみんなの予定を思い出しながら、ふーっと息を吐いてソファーに腰掛けた。
あの日から、一年以上が経った。
その間に世間が変わって行くように、万事屋にも変化が訪れていた。
新八の道場には人が多く集まってきていて、ここへは週二、三回の出勤。
神楽はエイリアンハンターになるため、2か月程修行に行き、1ヶ月ほど休むというのを繰り返している。
私と銀ちゃんは相変わらず、江戸で万事屋をやっているが。
私は、二人の成長に嬉しい反面、少し寂しい気持ちも感じている。
一人で部屋にいるこんな日には、特にみんなに会いたくなってしまう。
私は人の温もりを求めて、社長椅子の上で丸まった。
冷たい椅子が私を静かに包み込んでくれる。
私が窓を開けると、風が吹いて優しく私の髪を揺らした。
ふと目線を外に向ければ、たくさんの人が歩いていた。
老人、カップル、小さな子供、天人、そして、見慣れた黒い隊服。
でも、この江戸のどこにもあの人はいない。
あれから一年、沖田さんがいないことなど気にもとめずに、毎日は過ぎていく。
私は一人同じ場所に取り残されながら、沖田さんがいない日常に慣れてしまっている。
すると、急にサイレンの音が聞こえて、建物の角からパトカーが顔を出した。
そして、犯人と思われる人を追いかけていった。
私は早く忘れたい、一歩でも前へ進みたい。
なのに、キスが私の足にまとわりついて離してくれやしないんだ。
私がぼーっと街を見下ろしていると、不意に桜の花びらが舞って来て私の手のひらに乗る。
私がそれをふーっと吹き飛ばせば、風に乗ってひらひらと空を楽しそうに飛んで行った。
いいなぁ…私もあんな風に飛びたい。飛んで、あの人のもとに…。
「…会い、たいよ」
そう呟いた小さな声は風にさらわれてしまう。
__でも、一度そんな事を口に出して仕舞えば。
今まで溜めていた思いが次々と溢れて来て、私はいっぱいいっぱいになってしまう。
沖田さんに、会いたい。
声が聞きたくて、笑顔が見たくて、同じ景色を見上げたい。
一秒でもいい、ほんの少しでいい。
だから、お願い…。
そんな願いたちは言葉にならず、あの日から初めて今日、ただ頬を濡らしたのだった。
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mifulu(プロフ) - 吉羅さん» 最後までお付き合い頂き、ありがとうございます！ (2019年9月13日 11時) (
レス) id: 8b6c4aa189 (このIDを非表示/違反報告)
吉羅 - すごく泣けます！（泣いてないけどｗ）沖田が手紙と花束を渡すとこ、あれが１番良いです。結婚完結もよかったです！これからも頑張ってください！！ (2019年6月3日 16時) (レス) id: 2c9031588c (このIDを非表示/違反報告)
mifulu(プロフ) - 金欠女子wさん» 読んでいただいて、ありがとうございます！ (2019年1月10日 22時) (レス) id: f591e17e69 (このIDを非表示/違反報告)
mifulu(プロフ) - すずさん» いつも、ありがとうございます！ (2019年1月10日 22時) (レス) id: f591e17e69 (このIDを非表示/違反報告)
金欠女子w(プロフ) - 更新お疲れ様です！ (2019年1月10日 21時) (レス) id: 5ee93ef12b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：mifulu | 作成日時：2018年11月8日 23時
