王子様 ページ15
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獲物を狙う獣のようにギラリと目が光った彼を見て、この場の男達が息を飲んだ。
「っ沖田さん…！」
彼は驚いてすくみあがっている男達の間をまっすぐ通り抜けて、私の元へやってくる。
「遅くなっちまって、悪ィ。もうちょっとだけ、ここで待っててくれ」
そう言いながら私のはだけた着物を直し、体を縛り付けている縄を解いた。
そして、彼が着ていた隊服の上着を私の顔にかける。
目の前が暗くなり、一気に彼の匂いが私の胸いっぱいに広がる。
「え、沖田さん…これ、？」
「今…俺、冷静になれそうにねェから…お前に怖がられたくねェ」
いつもよりもドスの効いた声をごまかしているような声は、きっと、彼が本能のまま戦う姿を私に見られたくないという意思表示。
私はそっと頷いた。
顔は見えないが、きっと彼はさっきのように目を光らせ、不敵な笑みを浮かべているのだろう。
少しばかり、私達を沈黙が包んだ。
すると急に、部屋中に激しくぶつかり合う刀の音が響く。
一切見えなくて戦況はわからないが、男達がやられているような声が響いている。
五分ほど経っただろうか、また音がやんで、たった一人の勝者の声が聞こえた。
「喧嘩売る相手間違えたなァ。次、お上に喧嘩売ってみろ…こんなのじゃすまねェぞ！！」
そして、そっと私の顔にかかっている上着を取った。
黒しか写っていなかった私の目に、私の肩をしっかり掴んで覗き込む沖田さんの顔が写る。
「A…！ 大丈夫か？ 何もあいつらにされてねェか？」
そう言いながら沖田さんが心配そうに顔を歪めているのに、私は安心して涙が出そうになってしまう。
でも沖田さんに心配をかけたくなくて、私は必死に涙をこらえて笑う。
「大丈夫です、未遂で終わりました。ありがとうございます、助けに来てくれて」
それを聞くと、沖田さんは私の片方の肩を自分の方に引き寄せ、反対の腕を私の背の方へと回す。
もしかして、抱きしめられる…！？
そう思った時、遠くからパトカーのサイレンの音がして、沖田さんはぱっと離れた。
少しバツの悪そうな顔をして。
「…無事で良かった。とりあえず行くぜィ、今から取り調べはキツイだろ」
そう言って、私に手を差し出した。
「立てるか？」
そんなふうに少し笑う姿が本物の王子様みたいだったなんて、場違いなことは、私の秘密にしておこう。
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mifulu(プロフ) - 吉羅さん» 最後までお付き合い頂き、ありがとうございます！ (2019年9月13日 11時) (
レス) id: 8b6c4aa189 (このIDを非表示/違反報告)
吉羅 - すごく泣けます！（泣いてないけどｗ）沖田が手紙と花束を渡すとこ、あれが１番良いです。結婚完結もよかったです！これからも頑張ってください！！ (2019年6月3日 16時) (レス) id: 2c9031588c (このIDを非表示/違反報告)
mifulu(プロフ) - 金欠女子wさん» 読んでいただいて、ありがとうございます！ (2019年1月10日 22時) (レス) id: f591e17e69 (このIDを非表示/違反報告)
mifulu(プロフ) - すずさん» いつも、ありがとうございます！ (2019年1月10日 22時) (レス) id: f591e17e69 (このIDを非表示/違反報告)
金欠女子w(プロフ) - 更新お疲れ様です！ (2019年1月10日 21時) (レス) id: 5ee93ef12b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：mifulu | 作成日時：2018年11月8日 23時
