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それで、その週末、ふたりからの赤ちゃんのお祝いを買いに行くことになった。
普段、私たちは目的のある買い物に一緒に行くことはあまりない。大倉くんは買い物は他人に気をつかわずにひとりでしたいって言ってたし、私も自分の買い物にひとを付き合わせるのは苦手だ。
だから、すこし予想はしていたけれど。
選んでる最中、大倉くんは終始退屈そうにしていて、意見を求めても「どっちでもいいんちゃう。」とかまるで興味がないといった返事しかしないし、
金額と中身の兼ね合いに悩む私に「まだ悩んでんのん？腹減ったんやけど。」なんて不満げな顔までしてくる。
「大倉くんからでもあるんだから、ちゃんと選ぶの参加してよ。」
言いたくはなかったけど、飲み込むのも違う気がして、渋々、そう言った。
大倉くんは眉を寄せて明らかに仏頂面になる。子供みたいな。
「やから、どっちでもいいって言うたやん。」
「それは意見になってないの。」
「気持ちやろ、お祝いって。気持ちがこもってればなんでもええって。」
考えすぎやねん、Aちゃんは。と、呆れたようにため息をついた。
「でも、いらないものもらっても困るじゃん。かさばるものとか、たくさんあっても使わないものとか。」
「そんなん、困らせとけばいいわ。もらえるだけ有難いんやから。」
私は思わず、顔をしかめる。
大倉くんにはこういうとこがある。妙に冷たいというか、自分の枠の外のものへの思いやりがないというか。
それが正論に思えるときとそうじゃないときがあって、でも、どちらにしても私はいつもすこしだけ怖くなるのだ。自分が大倉くんの枠の外のひとになってしまうときのことを考えて。
大倉くんにどうでもいいって、思われるときのこと。
「そんな心ないこと言うなんて信じらんない。」
結局、私が先に怒ってしまったのがこの喧嘩で、苦笑いをしながらそのことを話すと安田くんも苦笑いを浮かべた。
「それはまあ、大倉が悪いなあ。でも大倉らしいっちゃ大倉らしいなそれ。」
らしいよねって眉毛をさげてちいさく笑って、最後のひと切れのチキンを口に運ぶ。
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蒼 夢見子(プロフ) - 璃実さん» 璃実様、お返事が遅くなってしまいごめんなさい…！ただのいちファンとしての勝手な主観ですが、大倉くんの強さややさしさを描けたらなと思いながら書いていたお話なので、そう言っていただけてほんとうに嬉しいです。最後まで読んでくださりありがとうございました^^ (2023年3月4日 22時) (
レス) id: 4e57835bcc (このIDを非表示/違反報告)
璃実(プロフ) - 沢山の人から生真面と言われてきたので主人公とどこか重ねて読んでいました。私がそうであってほしいと思う大倉くんと、きっとほんの一部ではありますが私が見てきた大倉くんを形にしたのもがまさに夢見子さんの描く大倉くんでした。素敵なお話をありがとうございます。 (2023年2月19日 23時) (レス) @page23 id: 096fac2c00 (このIDを非表示/違反報告)
蒼 夢見子(プロフ) - 日玖さん» 日玖様、最後までお付き合いくださり、ありがとうございます。そのようなことを言っていただけて私もしあわせです……少しでも楽しく読んでいただけていたらそれだけでもうとても嬉しいです^^ありがとうございました…！ (2022年3月13日 17時) (レス) id: caebde5a3d (このIDを非表示/違反報告)
蒼 夢見子(プロフ) - 美波さん» 美波様、あたたかいコメントいただけてとてもうれしいです…（涙）お話を書くのは自己満足のためとは言え、読んでくださる方がいてこそ最後まで書くことができたと思っています。こちらこそ心から感謝です……本当にありがとうございました！ (2022年3月13日 17時) (レス) id: caebde5a3d (このIDを非表示/違反報告)
日玖(プロフ) - 完結おめでとうございます。ほんっとうに物語に引き込まれっぱなしで、読んでいる時間いつだってとても幸せでした…！素敵な作品を、ありがとうございました。 (2022年3月9日 22時) (レス) @page23 id: bbffd7f7da (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：蒼 夢見子
| 作成日時：2019年7月16日 0時
