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「ただいま」
ドアを開き誰もいない家の中に向かってそう呟いてみるけど、かえって暗い気持ちになる。
改めて見ると私の部屋って、なんだか雑然としている。本当にただ、寝るだけの部屋みたいだ。
昨日仕事の途中で寝たからダイニングテーブルの上にはノートパソコンは開きっぱなしだし、書類も広げっぱなし。
今日明日でもうすこしなんとかしなければ、来週が大変になるからどうにかしないと。
そう思ってダイニングテーブルの椅子に浅く腰をかけ、ポケットから携帯を取り出してみると、メッセージが来てた。大倉くんから。
『今日何時に帰ってくるん？』
そういえば、昨日、ボーリングに行くことになってたんだっけ。行く、とも言ってないし、半分強制みたいなものだけど。
お誘いってわけでもない。付き合わされるって言いかたのほうが正しいかも。
さらさらボーリングなんて気分じゃないけど、断るのも面倒くさいことになりそうだし、
『もう帰ってきたから何時でも』
そう返事をするとすぐ既読がついた。
『じゃあ30分後な』
『駐車場降りてきて』
急だなあと思いながらも、了解と返す。
動ける格好を、と思ってジーパンと白いTシャツに着替えると麦茶を一杯飲んだ。夏の味がする。
来週の今日にはホーリーがここにいるはずで。
ホーリーはイタリアングレーハウンドという犬種で、亮が社会人になった時に飼い始めた。大学生の頃から続いた独り暮らしに慣れるどころか、年々寂しさが増して、それで犬を飼うことにしたらしい。
私が住むこのマンションはペットが大丈夫だから、前に二度ほど預かったことがある。
細くて長くて、ちょっと変わった風貌の犬で、だけど、目がくるくるしていて愛らしい。
すこし、心の準備をしておかなければいけない。
亮と会うのは半年ぶりくらいだけど、亮と亜紗美ちゃんのふたりの姿を見るのは結婚式ぶりだ。
亜紗美ちゃんは亮の大学時代の友達で結婚する前にも何度か会ったことはあるけど、まるで完璧なひとだった。
容姿もさることながら、中身も。人懐こくて誰にでも好かれるタイプ。勝つとか負けるとかそんな土俵に私がいないのはわかっているけど、彼女に敵うところなんて私にはこれっぽっちもない。
だから、しあわせそうなふたりを見守るような笑顔の練習と、浅ましい嫉妬なんてしないように心の準備をしなくちゃいけないのだ。
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蒼 夢見子(プロフ) - すぅさん» すぅ様、初めまして。コメントありがとうございます^^私には勿体無くも有難いお言葉いただけてとても嬉しいです（涙）これからも楽しんでいただけるものを書けるよう頑張ります！ (2018年12月3日 11時) (
レス) id: d57fe18bd1 (このIDを非表示/違反報告)
すぅ(プロフ) - こんばんは。今まで読んできた小説のなかで一番素敵な物語です。これからも応援しています (2018年12月3日 0時) (レス) id: 6e6892a55b (このIDを非表示/違反報告)
蒼 夢見子(プロフ) - 茜音さん» 茜音様、こんにちは。こちらにもコメントいただけてとっても嬉しいです...（涙）この間とはすこし違ったいたずらで甘い大倉くんを書きたいなーと思い書き始めました。そう言っていただけると俄然執筆への意欲が湧いてきます！ありがとうございます^^ (2018年11月21日 10時) (レス) id: d57fe18bd1 (このIDを非表示/違反報告)
茜音(プロフ) - こんにちは！こちらのお話にもコメント失礼します。優しいんだか冷たいんだか分からない大倉くんとっても魅力的です好きです（；＿；）ヒロインちゃんが幸せになれることを密かに願いながら応援しております、、、！ (2018年11月21日 0時) (レス) id: c4843d23a9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：蒼 夢見子
| 作成日時：2018年11月13日 22時
