Quoi que vuos【時透無一郎】３rd

エピローグ〜未来の話〜2nd ページ25

貴「詠芽」


ロビーの椅子に座っている教え子に声をかけた。


詠芽「あ、A先生！」


詠芽はパァっと顔を輝かせた。


貴「お疲れ様。頑張ったね」


笑顔を向けると、詠芽は照れ臭そうにえへへ、と笑った。
可愛らしい生徒の姿を見て撫でたいなーと思ってしまう。


詠芽「私絶対、先生の夢叶えますから！
ピアノで誰かを幸せにするっていう夢！」


本当に良い生徒を持ったなぁ、私……


貴「ありがとう」



手が使えなくなってから私は、自分が叶えられなかった夢を誰かに託すことにした。


だから私はピアノ教室を開いて、その自分の教え子からピアニストを出すという新たな夢を掲げ禰豆子や真菰が宣伝に協力してくれたおかげで教室の生徒の人数はかなり多くなった。


だけどこうやって前を向くことができたのは紛れもなくあの人のおかげ。

今どうしてるかな……



詠芽「先生？どうしました？」


貴「ああ、考え事してたの」


詠芽は少し不思議そうな顔をした後に悪戯に少し微笑んだ。


貴「ん？詠芽、どうし…」


「ねえ」


貴「%^〒+＜(7$×○＜！！？？」


詠芽「先生、日本語になってないです笑」


貴「いや不意打ちすぎたの！ていうか後ろから近づいてこないでもらっていい！？

無一郎！！！」


無「耳悪くなった？」


貴「うるさい」


詠芽「夫婦喧嘩はやめてください」


貴「喧嘩じゃない」


いや、喧嘩じゃないよ？
たぶん。


詠芽「はい、じゃあ私そろそろ帰りますね！
お二人今日、結婚記念日なんですよね？
楽しんできてくださいね！」


無「随分、空気の読める教え子を持ったんだね」


貴「まるで私が空気読めないみたいに言わないで」


詠芽「だから、夫婦喧嘩はやめてくださいって笑
じゃあ、さよなら！」


貴「さようなら」


無「じゃあ、僕たちも行こうか」


貴「うん」

エピローグ〜未来の話〜3rd→←エピローグ〜未来の話〜1st

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す