XVIII ページ20
そのあとは、救急車やら警察やらが来て、学校に残っている生徒は強制的に下校させられた。
だけど私は知ってる。
光輝は既に帰らぬ人となっていることを。
トボトボと一人、夜道を歩いていると公園に辿り着いた。
錆びた鉄が目立つ滑り台や鉄棒。
全部全部、昔、光輝と一緒に遊んだ思い出。
一気に過去の思い出の波が押し寄せてきて、また、どっと涙が溢れてくる。
馬鹿みたいに。
泣いたって、光輝は戻ってこないのに。
暫く泣き暮れていると、ヒラヒラと白い花びらが降ってきた。
……いや、違う。
頬に触れた花びらが冷たい。
花びらじゃない。雪だ。
「……最悪」
天気予報に雪なんて書いてなかったから傘なんか持ってきていない。
だけど急いで帰ろう、だなんて気持ちにもなれなくて、雪がしきりに振り続ける中、私は公園の入り口にしゃがみこんでいた。
───────言えなかった。
あんなことしてまで、二年前に来たのに。
結局、何も変わらなかった。
私は……何をしに来たんだろう。
目を閉じると、いきなり私の周りに雪に降らなくなった。
なんでだろうと不思議に思って目を開けると、私の上に傘が掲げられていた。
「……また、風邪ひく」
「田中……」
傘をさしてくれていたのは、いつもなら妙に憎たらしい筈の田中だった。
【明日完結】
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花恋(プロフ) - 泣きました!本当に感動しました。!本当に作者様すごいです! (2020年10月26日 19時) (レス) id: beb1340a63 (このIDを非表示/違反報告)
りんご昆布の神(プロフ) - 鸞鳥さん» そう言って頂けて嬉しいです!更新頑張ります! (2020年10月9日 16時) (レス) id: aca7717c5b (このIDを非表示/違反報告)
りんご昆布の神(プロフ) - 爽@三人娘。さん» ありがとうございます!ご期待に添えるように頑張ります! (2020年10月9日 16時) (レス) id: aca7717c5b (このIDを非表示/違反報告)
りんご昆布の神(プロフ) - 花蝶霞☆奏音さん» いつも、ありがとうございます!皆さんに面白いと思って貰えるような小説を心がけていきます! (2020年10月9日 16時) (レス) id: aca7717c5b (このIDを非表示/違反報告)
りんご昆布の神(プロフ) - りなりんさん» この作品に似合うcssだったので即お借りさせて頂きました笑 (2020年10月9日 16時) (レス) id: aca7717c5b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:りんご昆布の神 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/fullmoon721/
作成日時:2020年10月6日 15時