あの日、見た星に願いを。【オリジナル】 (ページ10)

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Ⅷ ページ10

「これに懲りたら騒いだりすんのやめろよな～」

「田中。あんたどこまで私を怒らせたいわけ？
元はと言えばあんたのせいだし」

職員室から解放されて尚、言い争いを続行する私達。ほんっと田中って嫌い。
言葉の一つ一つが癪に障る。

「あ、秋月さん。ちょっと待って」

うるさい田中を無視して一人で教室に戻ろうとすると担任に呼び止められる。

「如月くんのノート、如月くんのおうちに届けてあげてくれるかしら？」

「あ、わかりました！」

良かった……。
ふう、と安堵の息を漏らす。

これで私に任されなかったら元も子も無いもんね。

「へー良かったな」

「ちょっ田中！もうあんた話しかけてこないでよ！！」

田中はニヤッと笑って

「だってお前、如月のこと好きだもんな」

「んなっ……」

ブワッと顔に熱が集まってくる。
な、なんでそのこと知って、

「あ、図星か？」

「うるっさい！！」

べーっと舌を出して煽るように睨む。
マジでアイツなんなの、ホントやだ！！

「……」

☆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━☆
放課後。自宅の隣の光輝の家のインターホンを鳴らす。
光輝のご両親は共働きだから光輝が風邪ひいた時も仕事だったっけ……。

うちは働いているのはお父さんだけ。
お母さんは、根っからの専業主婦。ママ！って感じ。

ガチャ、と玄関が開いて光輝が顔を出す。

「わぁ、思った通り酷い顔」

「……うるさい」

光輝は昔っからそうだった。
気は強くて憎たらしいくせに体だけは弱くて風邪をひきやすい体質。
なのにご両親が共働きなのには、まあいろんな事情があるらしい。

「ちゃんとご飯食べた？」

「……たべたくない」

こりゃダメだ。

「じゃーあ、お邪魔します」

「は？」

光輝の了承ひとつもらわず、勝手に光輝の家にあがっていく私。
だからガサツって言われんのかな……。
いや、私はガサツではない……はず。

「ちょっ……」

無断で家に上がる私を光輝が腕を掴んで止めてくる。

「何？」

「……風邪、うつる、から」

呂律もうまく回っていない光輝。
普段は憎まれ口を叩いているくせに、私に風邪が伝染るのを心配してくれているらしい。

「大丈夫大丈夫。私は体強いから！」

「……つまり、馬鹿ってこと？」

「正直に『馬鹿は風邪ひかない』って言えや、殴ってやるから」

やっぱり光輝は光輝だった。