君を再び俺のものに【童磨】

君を連れ戻すまで　３ ページ5

［ヒノカミ神楽 円舞！！］



声が聞こえた方へ向かうと美しい炎に包まれた刀を振るっている隊士を見つけた。



見ない顔だから多分あの子が新人の癸の隊士。



さっき見た鬼の目には下弦の伍と刻まれている。



癸が十二鬼月を相手にこれほど…






私の助けは要らないかもしれない。

　
だけど木の影から見守ることにした。



少年は鬼の頚を斬った…けど…


どうだろうね…



十二鬼月って…






案の定、鬼は死んでなかった。


頚を斬られる前に自分の糸で頚を斬ったらしい。




また厄介な…




【血鬼術 殺目篭】




危ないな。助けなければ…




［氷の呼吸 弐ノ型 樹氷華］




赤い糸で出来た篭を破る。



貴「…よく頑張りましたね。

もう大丈夫です」



炭(あの糸を容易く…)



累「次から次へと…僕の邪魔ばかりする屑共め！！」


貴「屑だなんて酷いなあ」



【血鬼術 刻糸輪転！！】




［氷の呼吸 壱ノ型 氷面一閃］



雷の呼吸の壱ノ型を見様見真似で会得した技。



鬼の頚は一瞬で斬れた。


刀についた血を払って鞘にしまう。




少年を見ると少年は可愛らしい女の子を守るように抱いていた。



気配が鬼…





それだけでなく先程の十二鬼月にも優しく背中を撫でていた。



あんな風に鬼に慈悲を向ける者は見たことがない。




貴「…ねえ」


私は思わず声をかけた。



貴「…どうして鬼に情けをかけるの？」


炭「鬼だって元々は人間だったんだからっ…俺と同じ…人間だったんだから…！

鬼は…虚しい生き物だ、悲しい生き物なんです…！」


この少年の赤い瞳が真っ直ぐ私を見つめていた。


でもその女の子は…





冨「…どけ」


冨岡さんがいきなり少し殺気立てて私を見ていた。



貴「…何なんですか、いきなり？「どけ」だなんて…

ああ刀を向けようとしないでください、御法度ですよ？

それとも何ですか？鬼を庇うつもりですか？
確かにこの子から鬼特有の異質な気配はしませんけど」



貴「……柱がこの子を認めるとは到底思えませんが、それでも庇うんですか？

ともすれば冨岡さんも処罰を受けることになりますよ」


冨「………」


貴「黙ってないで何とか言ったら…」


しのぶの気配がする。


こっちに来る…？

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