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電話の外から舞い込んできたのは絶望だった。

夏の暑さも相まって、その気分の悪さに吐き気がしたくらい。

どうして

どうしてこんなことに……。


「〜っ!!」


考えるより動く方が楽だった。

俺は病院へ向かうために大急ぎでタクシーを拾って向かい始めた。


"彼女"は今、どんな容態なのか。

もしかしたら死ぬかもしれない。


そんな不安と葛藤を抱えて。








〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


病院の廊下を走って病室のドアを音が鳴るほど大きく力強く開ける。


「A!!!」


病室がうるさかったのはその時だけ。

俺の息切れ以外には病室には機械音とAの呼吸音しか鳴っていない。


「A……A……」


愛する彼女の名前を呼んでも、返事をしてくれる気配は無い。

痛々しく包帯を巻かれ、口に呼吸器を付けているAの姿があるだけ。


「死なないよな……お前……。
頼む、死なないでくれっ……神様っ……」


神様にすがることしかできない、俺は惨めだ。






Aとは高校時代からの恋人だった。

進路が分かれ、大学も同じじゃないけど、それでもお互いが他の人を好きになるなんてことは一度も無くて、



『私とずっと一緒にいてね』



Aの綺麗な笑顔と声が脳内に鮮明に蘇る。
俺はまた涙で病院のベッドのシーツを濡らしてしまった。


「約束、しただろ A……」


お前はまた、『湊』と俺の名前すら呼んでくれないのか?
もう一度だけで良い。

会いたい。呼んでくれ。

お願いだから……

2→←夢主



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設定タグ:オリジナル , パラレルワールド , 事故   
作品ジャンル:恋愛, オリジナル作品
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昆布の神(プロフ) - 日向鬼@青いブレスレット運動参加さん» 一コメありがとうございます!パラレルワールドとかの都市伝説的なやつが私大好きなんですww ファンなんて本当に嬉しいです!! (2020年5月24日 21時) (レス) id: aca7717c5b (このIDを非表示/違反報告)
日向鬼@青いブレスレット運動参加(プロフ) - え!?やった!僕コメ一番! (2020年5月24日 21時) (レス) id: 01514d0bec (このIDを非表示/違反報告)
日向鬼@青いブレスレット運動参加(プロフ) - パラレルワールドの世界線もいいですねえ…ほんと好きだわ。昆布さんの作品。なんか最後には全部繋がるし、その場の空気も伝わって切るし、神作者さんだよ!僕はもう昆布さんファンになった! (2020年5月24日 21時) (レス) id: 01514d0bec (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:昆布の神 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/fullmoon721/  
作成日時:2020年5月24日 8時

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