北一出身の白鳥沢マネージャー【5th season】【ハイキュー】

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「足に接着剤でもついてんのかコノヤロー！！ 拾える球(ボール)だろうがっ！」



ここ数年の白鳥沢として異例のフルセット決定に、すかさず監督の怒号が響き渡った。
……宮城(この)県でフルセットなんて、初めて見た。



「……ていうか、Aちゃん今日は随分大人しいんだね？」

「え？」



天童さんが私にそう言った。
大人しいというか、べつにいつもはしゃいでいるつもりはないけれど……。



「インターハイのときからわりと口出しするようになってたのに、今日は何も言わないんだねーって」

「！？ いやっ、その……その節は大変申し訳……！！」

「えっ！？ チガウチガウ、咎めてるわけじゃないから！！」



ペコペコと高速で頭を下げていると、川西さんが「残像が見える……」と呟いた。



「えっ……そうですか？ 実は烏野の武田先生も高速お辞儀で残像が見えるんですよ」

「何ちょっと顔赤くさせてんの？？」

「ていうかノータッチだったけど、武田ってあの烏野の監督？」

「そうです。バレー部の顧問だったの初めて知りました」

「へー。今日七星くんいなくて良かったね。敬愛する姉の初恋相手なんか見たら発狂モンだよ」



烏野は今年になっていきなり強くなり始めたから、コーチの存在も練習も、たぶん武田先生の計らいだろう。良くも悪くも、あの人は誰かのためになるなら何でもやる人だから。



「で？ Aちゃんは今日ないの？ ありがたーいお言葉」



天童さんに言われて、私は今日の試合を自分なりに振り返った。言葉。……言葉。



「何か言う必要がありますか？」



誰かが特別調子が悪いわけじゃない。
寧ろ調子がいいまである。
べつに何か言いたいこともない。

みんなが目を丸くして、そのあと何か呆れたような顔をした。なんで……。



「……おっけおっけ。そういうカンジね」

「私なにか無礼を働きましたか……」

「いやべつに？」




天童さんはそう言って、ボトルを置くと立ち去っていった。




＊

天童 side



宮城の県予選で異例のフルセット。烏野にワンチャンがあるかもと誰もが思う中で、ただ一人白鳥沢の勝利を疑っていない。


＿＿＿＿『何か言う必要がありますか？』


インターハイと同じ、それが当たり前みたいな顔をした。フルセットまで来ても、焦りも絶望も感じないみたいだ。



「……ホント、おっそろしいマネージャーだこと」



……そして、本当によく影山と似ている。

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