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「……なんか、人 少ない?」



Aがアジト内に戻ると、アジトの人口密度が明らかに減っていた。チラホラと下っ端はいるが、それにしても人数が少ない。



「アカギ様が消えたのと、国際警察が来るともなれば、逃亡くらいしたくなるだろう」



廊下の壁に気だるげに背を預けているサターンが、目を閉じて腕を組みながら言った。



「じゃあサターンも逃げれば良かったのに」



Aが言うと、サターンがゆっくり目を開けた。
青い瞳が流し目でAを見る。



「お前に追いかけられるのは御免だからな」



社会的立場と第三者的視点から見れば、今のサターンとAは追われる者と追う者だ。しかし。



「べつに、今逃げても追いかけないよ」



静かな声でAが言った。
サターンは、何を考えているのかわからない目でAを見つめる。

反対に、Aはその視線から逃げるように目線を斜め下に下げた。



「死ぬまで管理するって、あんたが言ったんだから。私はあんたを管理する気なんてないし」

「そんなこと、国際警察の立場で真に受けるものじゃない」



サターンが嘲笑するように言う。
どうやら本気で逃げるつもりがないらしい。



「……今逃げても、追いかけないって言ったでしょ」



Aが顔を上げる。
青い瞳と、水色の瞳の視線が交わり合った。



「サターンが今逃げたところで、……追いかける人(・・・・・・)なんか、いないの」



そう言うと、サターンが目を開き、そして眉根を寄せた。

次の瞬間には強い力で胸ぐらを掴まれ、壁に押し付けられると同時に鈍い音が鳴る。



「……まさかお前」



サターンに睨まれても、Aは表情ひとつ変えなかった。
これは、もうずっと前から決めていたこと。
それをただ行動に移しただけだ。



「本部には、一部の過激派が働いた悪事だって伝えた。
……国際警察は、エネルギーに関する研究を行っていた組織だと認識してる」



多少の犠牲は仕方ないと踏んで、一部の団員は売ってしまったが、それに関しては今はもういないアカギの洗脳のせいにしてしまえば多少罪も軽くなるだろう。



「ごめんね。やっぱり私、正しくない人間だから。守りたい人は確実に守るよ」



Aには、元よりギンガ団全体を売る気などなかった。

アカギを失ったことで意気消沈し、同じく行方がわからなくなったマーズやジュピターのことも、Aは守るつもりだった。

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作者名:昆布の神 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/fullmoon721/  
作成日時:2023年1月26日 20時

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